総務のマニュアル職場における「見えない障がい者」支援

内部障がいとは何か 種類とその特徴

株式会社 自分楽  代表取締役 崎山 みゆき
最終更新日:
2023年02月15日
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高齢化社会が進んでいる今、「中途障がい」で職場に復帰する人は少なくなく、職場の支援が求められています。特に難しいのが、見た目では障がいがわからない「内部障がい者」に対する配慮です。ここでは、内部障がい者とはどのような人たちのことか、事例を交えて紹介していきます。

内部障がいの種類とその特徴

「内部障がい」という言葉をご存じでしょうか。体の内部にある障がいのことです。内部障がいがある方たちは「見えない障がい者」ともいわれ、周囲からの理解や支援を得られにくいという問題を抱えています。世界保健機関(WHO)により提唱された国際障害分類試案の機能障害の一つに属し、心臓、呼吸、腎尿路、消化など内部機能障害の総称と定義されています。わが国の身体障害者福祉法では、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、肝臓機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の7つを内部障がい(内部機能障害)と規定しています。図表1がこれらの特徴です。

図表1:内部障がいの特徴

心臓機能障害 全身に必要な血液を送り出す心臓の機能が低下した状態。心臓の収縮のリズムが不規則な人は「ペースメーカー」という医療機器を胸部に埋め込んでいる。不整脈の対策としては、突然起こった心室頻拍や心室細動を自動的に感知し、電気ショックを与えることで心臓の動きを正常に戻す「ICD」という医療機器を装着することがある。
腎臓機能障害 病気により腎臓の働きが悪くなった状態。体に有害な老廃物や水分を排せつすることができなくなり、不必要な物質や有害な物質が体の中に蓄積してしまう。
呼吸器機能障害 肺の機能が低下したことにより、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる状態のこと。呼吸器機能障害のある方の中には、酸素吸入するために、常に酸素ボンベを携帯している人もいる。
肝臓機能障害 さまざまな原因により、肝臓の機能が低下した状態のこと。それにより、倦怠けんたい感(だるさ)、黄疸おうだん(皮膚や白目が黄色くなる)、出血傾向(あざができやすい)、易感染性(感染しやすい)、吐血、意識障害などが生じやすくなる。
ぼうこう・直腸機能障害 尿をためるぼうこう、便をためる直腸が、さまざまな病気のため機能低下または機能を失った状態のこと。排せつ物を体外に排せつする「ストーマ」という人工肛門・人工ぼうこうを造設することがある。ストーマを装着している人を「オストメイト」という。
小腸機能障害 小腸の広範囲に及ぶ切除や病気によって、小腸の機能が不十分になった状態のこと。消化吸収がうまくできず、通常の経口摂取では栄養維持が困難な方もいる。食事制限を受けている場合もある。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害 HIVウイルスに感染すると、白血球の一種であるリンパ球が破壊され、免疫機能が低下する。そのため、発熱・下痢・体重減少・全身倦怠感などが現れる。特定の病状が現れるとエイズ(後天性免疫不全症候群)の発症となる。

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著者プロフィール

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株式会社 自分楽  代表取締役
崎山 みゆき

一般社団法人 日本産業ジェロントロジー協会代表理事。両立支援コーディネーター。2021年より内部障がいのため、障害等級1級。2000年より大学院にてジェロントロジーを学び、中高年のキャリア開発に取り組む。産業ジェロントロジーの第一人者。内閣官房、東京都などで講師、研修企画に従事。日本放送協会、テレビ東京、産経新聞など取材多数。著者に『シニア人材マネジメントの教科書』(日本経済新聞出版社)、『60歳新入社員の伸ばし方、活かし方』(労働調査会)、『ジェロントロジーで学ぶ 40代、50代からの働き方』(日経BP)などがある。

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