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人事制度で組織力が30%アップする【第6回】人事制度の運用編:上司の面談力を磨く

2020年08月18日

■成長支援面談の定義と姿勢

 初めて部下と面談をする上司の方から、「部下が話を聞いてくれるかとても不安だ」「やり方を学んだこともないので、うまくいくかはわからない」などの不安の声を聞くことがあります。人事評価制度(社員成長支援制度)の運用がうまくいくかどうかは、実はこの面談(以後、「成長支援面談」と称する)の出来栄えが鍵となります。つまり、上司の面談力が相当重要になってくるのです。

 私は、この「成長支援面談」の定義を「自己のチャレンジ目標の達成を通じ、本人に自主・自発的な行動を喚起させ、上司からの支援を受けながら、成長につながる双方向のコミュニケーション手段」としています。

 上司が成長支援面談を行う際に大切にすべき点は、「目の前の部下を心から成長させたいという思いと期待を込めて進めていく」という姿勢です。この考え方は、「ピグマリオン効果」あるいは「教育期待効果」とも呼ばれており、この姿勢がないと部下を成長させることは難しいのです。上司の方は、常日頃からこの姿勢を意識しながら部下に接しましょう。きっと部下の行動に変化が出てくるはずです。

■成長支援面談の流れとポイント

 この成長支援面談には、(1)「目標設定面談」、(2)「中間フォロー面談」、(3)「評価面談」の3つの面談があります。全体の流れ(成長のサイクル)は、下記図表を参照してください。この3つの面談を通じて一人ひとりの成長課題を明らかにし、部下が今までできなかった仕事ができるように(量的な拡大)、今よりさらに高いレベルの仕事ができるように(質的な拡大)、上司が指導をしていきます。

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■面談での注意点

 次に、面談を行う際に上司が是非取り組んでほしいポイントをご紹介します。

(1)面談の前に十分な準備を行う
(2)発言は常に具体的にする(いわゆるアバウト言葉を使わない)
(3)部下の意見や考え方を十分に聞く
(4)評価に対する行動や事実をきちんと聞く
(5)部下を侮辱する、または脅しのような言葉は使わない(パワハラになりがち)
(6)部下に自分で考えさせる(そのためには質問をより多くする)
(7)面談記録を取る(第2回:面談準備シート参照

 最初の面談は、時間をかけて準備をしてください。準備すればするほどうまくいきます。面談中は、質問を投げ掛け、部下になるべく自分で考えさせ、答えてもらうという癖をつけさせてほしいと思います。これがいわゆる「自律型社員」 につながっていくのです。

■目標設定面談の進め方

 目標設定面談の流れについて、質問例を入れながら説明します。

(1)主旨説明:面談の目的を確認する

【質問例】
「まず、今年度の会社や課の方針を確認しますね。次に〇〇さんが設定した今年1年(半年)の目標を基に、私からいろいろ質問させていただきます。お互いが納得いく形の目標に擦り合わせをしたいので、よろしくお願いします」

(2)質問を通じて面談を進める(本題)

 部下が設定した自己目標について話してもらいます。以下のポイントを基に部下の目標をチェックしましょう。

〈自己目標設定のチェックポイント〉
(1)部(課)の方針に合っているかどうか
(2)本人のキャリアに妥当かどうか(今までの職務経験をベースに次にレベルアップできる仕事はあるのか)
(3)より具体的かどうか(数値化して、評価測定できるか)
(4)達成基準のレベルは低すぎないか(本人の実力でジャンプして手が届くレベルかどうか)
(5)期限や遂行基準に問題はないか (本当にそれで達成できるかどうか)

【質問例】
「今回のチャレンジ目標は、どういう理由で設定しましたか?」
→理由を聞いて、設定した目的や背景を理解する。
(特に低い目標を設定してきた社員に対して)「その目標を達成すると、今よりあなたの能力、スキルはレベルアップできますか?」
→低い目標と気付かせる。
「この目標が達成できたら、次にどんな目標を達成したいですか?」
→より高いチャレンジ目標に誘導させる。
(高い目標を設定してきた社員に対して)「これを達成するために、どんな方法を考えていますか?」
→達成可能な方法を一緒に検討する。

(3)クロージング

(1)何か問題がないかを最後に確認する
「これを進めるに当たって、何か障害はないですか?」
(2)上司からの支援活動を確認する
「私にできることは何かありますか?」
(3)最後に激励をして終わる
「チャレンジすることは大変だけど、この挑戦があなたの成長に必ずつながりますよ。今回のこと、期待していますよ」と、部下に熱い期待を込めて面談を終わらせる。
(4)最後は「笑顔」で終わる

 成長支援面談は、すぐにはうまくいかないといったケースがあります。そのため、この面談に慣れることが重要です。慣れることで部下に良い質問ができ、より良い面談に近づくことができます。目標設定面談チェックシートを掲載しましたので、実際の面談の前と後でこれを活用して、面談のレベルアップにつなげてください。

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出所:合同フォレスト『今いる社員で成果を上げる中小企業の社員成長支援制度』P.149掲載

チェックシートのダウンロードはこちら

■できるようになるには回数をこなす

 面談に慣れるには、月間、週間、毎日の面談といったように、回数をこなしましょう。頻度や所要時間も人によって変えて大丈夫です。たとえば、ベテラン社員は毎月1 回、若手社員は週1回、新入社員には毎日行うなどといった具合です。

 新任上司の方は、この成長支援面談を積極的に活用して自分の部下をどんどん成長させてください。それが上司の面談力の向上につながっていきます。

大竹 英紀
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