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パワハラ防止法(3)厚生労働省の指針上の事業主の講ずべき措置

2021年06月25日

■事業主の講ずべき措置に関する指針

 前回前々回でパワハラ防止法の趣旨やパワハラの要件を見てきました。事業主が講ずべき措置等については、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)第30条の2第3項にて、以下のように規定しています。


厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。


 ここでいう指針とは、前回も触れた2020年1月15日発布の「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)です。

■事業主の講ずべき措置

指針に定められている事業主の講ずべき措置には以下のようなものがあります。

(1)事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
(4)上記(1)~(3)の措置と併せて相談者へのプライバシーなどへの配慮措置

 指針には(1)~(4)の具体的について、さまざまな例が列挙されています。その代表的方法を挙げると、事業主は以下の方法を取る必要があるとされています。

(1)事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
・職場におけるパワハラの内容および職場におけるパワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること(具体例としては、社内報、パンフレット、社内ホームページなどにパワハラに対する方針を記載するなど)
・職場におけるパワハラに係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針および対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律などを定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること

(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

(3)職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
 事業主は、職場におけるパワハラに係る相談の申し出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認および適正な対処として、次の措置を講じなければなりません。

・事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
・職場におけるパワハラが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
・職場におけるパワハラが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと

(4)上記(1)~(3)の措置と併せて相談者へのプライバシーなどへの配慮措置
・職場におけるパワハラに係る相談者・行為者などの情報は当該相談者・行為者などのプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該パワハラに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること

■パワハラ防止において望ましい取り組み

 さらに、指針5では、事業主の義務ではないものの、望ましい取り組みとして以下の内容が掲げられています。

・パワハラ、セクハラ、マタハラ、育児休暇ハラスメントなどと複合的に発生することが想定されることから、セクシャルハラスメント相談窓口と一体的にパワーハラスメント相談窓口を設置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備すること
・コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修などの必要な取り組みなどを行い、パワハラを事前予防すること
・パワハラ対策を行う際に、労働者や労働組合などの参画を行い、アンケート調査や意見交換なども行うこと

 このようにパワハラ防止法によって、事業主が講ずるべき、または講ずることが望ましい施策は非常に多くなったといえます。企業の担当者は、どのような形式であれば自社でも講じることができるのかを検討し、社会保険労務士などの専門家に意見を聞くことが重要といえるでしょう。

高橋 孝治
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