カスタマーハラスメント(カスハラ)は、職場で顧客や取引先などからの不適切な言動や要求により、従業員が精神的または身体的な苦痛を受ける状況を指す。これには、顧客からの無理な要求や、過度のクレーム、暴言、脅迫、さらには暴力行為などを含む。具体的には以下のようなケースが考えられる。
2019年6月5日に改正が公布されたパワハラ防止法(「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」により、職場におけるパワーハラスメント(カスタマーハラスメントを含む)防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務とされた。
この改正を踏まえ、2020年1月に「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)が策定され、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関して、事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取り組みを行うことが望ましい旨、また、被害を防止するための取り組みを行うことが有効である旨が定められた。
厚生労働省は2022年2月、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」とリーフレット・ポスターを作成し、カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みを紹介している。
また東京都では、2024年10月4日に全都道府県で初となるカスタマーハラスメントを禁止する条例の「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を制定した。ただし、具体的な罰則規定は設けられていない。(東京都公報の条例本文はこちら)この条例は、2025年4月1日から施行される予定だ。普及啓発ポスターも公開されており、事業主はダウンロードの上、印刷等をして従業員に周知することに役立てることができる。(「TOKYOノーカスハラ支援ナビ」)
「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」では、以下のような具体的なカスタマーハラスメント行為が挙げられている。
自社でカスタマーハラスメント対策方針を定める必要がある場合、同業他社の方針を参考にすることも考えられる。当メディアでは同業他社の方針を業種ごとに掲載している。
厚生労働省「顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)について」はこちら。パンフレットやポスターなどがダウンロードできる。
(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」)