「企業の社会的責任」と訳されているが、EU、アメリカ、日本などそれぞれの社会的背景があり、その定義は一様ではない。しかし、企業のトリプルボトムライン(経済・環境・社会)へのバランスある対応が基本にある。日本では、2003年経済同友会の企業白書に「CSRは、企業と社会の相乗発展のメカニズムを築くことによって、企業の持続的な価値創造とよりよい社会の実現を目指す取り組みである」としているものがわかりやすい。また、具体的には、立教大学田中宏司教授が、「企業がCSRの対象分野や項目として求められるものは、良質な商品・サービスの提供といった単なる経済活動にとどまらず、企業倫理・コンプライアンスの実践、経営の透明性確保、地球環境保全への配慮、人権の尊重、労働環境の整備、情報開示と説明責任の遂行、社会貢献活動など、多種多岐にわたっている。それだけに、CSRは企業経営そのものであり、新たな価値創造や市場創造へと結びつけていくための本業に根ざした自主的な取り組みである」と述べている。
(執筆 BEIビジネス倫理研究所代表 山口謙吉)