株主総会運営:運営ポイント

最終更新日:2010年05月01日

株主総会を無事終了させるためには、目的やその重要性に関する共通認識が必要となる。また、その特性に合わせた適材適所の人材配置により、円滑な運営を目指すべきである。株主総会では、招集通知をはじめとする法的必要文書や各種掲示物など、数多い準備物が必要となる。法的スケジュールの遵守はもちろんのこと、関連する全業務につき正確な統括管理が必要である。そして、株主総会が終了するごとに運営マニュアルとして、そのノウハウを記録管理して、次回の株主総会に備えていくべきである。

●共通認識

運営事務局の総務部や取締役、監査役には当然に当事者意識はあるが、運営のために一時的に駆り出される他部門のメンバーや想定問答集の作成に携わるメンバーには、株主総会は単なる総務部主催の一会議という認識しか持てないことが多い。そして、株主総会がすんなり終了する場合は、正味20数分しかかからないということを考えると、株主総会出席者でない限り、なぜかようにも神経質にそして膨大な作業(想定問答集の作成)をしなければならないのかが理解できない。こうなると、運営事務局がイメージしている通りに事が運ばなくなる。規模にもよるが、株主総会に多少でも係る者に対しては、その法的な重要性と株主総会が混乱した場合に想定される事態について、十分に共通の認識が持てるように運営事務局としては取り組むべきである。

●適材適所

株主総会運営には、会場設営から司会、株主誘導、受付、警備や関係者接待、そして議長の後ろに陣取り弁護士と協力し、議事運営のサポートを行う事務局という担当が必要となる。各業務に関してそれ相応に必要な資質がある。可能ならば、是非その資質に合った人材を配置すべきである。受付には、てきぱきと受付業務を処理でき機転が利く人材が必要であるし、事務局には弁護士と同等の法的知識があり、幅広い視点からとっさの事態にも素早く対応できる人材が必要である。株主総会が何事もなく終了する場合、事務局の仕事は開会と閉会の時間計測ぐらいだが、いざ事が起こると、議長の力量にもよるが、事務局の能力の高さがものを言うはずである。

●統括管理

株主総会運営には招集通知をはじめとする印刷物の作成や、シナリオの作成、議場設営のための掲示物の発注や必要備品の準備等々、多くの業務が平行して行われる。当然、法的スケジュールの管理は必要であるし、その他にも工程管理が必要となる。株主総会の統括責任者である運営事務局としては、全ての必要業務をまず洗い出し、納期の設定と依頼部署や運営事務局内での役割を明確にし、一覧表のもと正確なる統括管理を行う必要がある。

●記録管理

株主総会は毎年必ず行う業務であり、その大枠はほとんど変わることがない。よって、前回行った株主総会の記録、運営のマニュアルが残っていると大変助かる。また、委任状や議決権行使書の戻り状況や出席株主の記録が管理されていると、次の株主総会の運営イメージがつきやすい。商法の理解度や事務局としての資質は属人的にはなるが、株主総会運営業務としては、運営マニュアルの作成による標準化が図れるはずであるし、そうしなければならない。

(執筆:『月刊総務』)

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