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固定資産税(償却資産)講座
第6回:固定資産台帳作成が経営の根幹だった(6)

2017年05月26日

■ 賢者は質問する

 「賢者の質問」に対し、税務調査員は口を開き始めます。

 「ご指摘の通り、固定資産台帳を購入、作成、廃棄するときに、ミスが生まれることは多いです。ほかにも、ある年度だけが、償却資産の申告漏れが発生するときがあります。ある年度だけが、申告漏れが発生するのは、たぶん、法人税申告の理解はできていても、地方税申告は、理解されていない方が、償却資産申告の担当者になったのかもしれません。国税に申告に比べ、地方税申告は軽んじているのか。そのような体質の企業なのかと、疑われますよ」

 「なるほど......」

 「ほかにも、償却資産の申告書が役所から、送られてきたら、印を押して、返送すればよいと、事務の引き継ぎされている企業もあります。それは悪意の申告と見られるので、注意をされたほうがよいです。ある程度の規模の企業の資産が、何年間もまったく増加、減少しないというのは、やはり不自然でしょう。税務調査員は、この企業は虚偽の申告者ではないかと疑い始めるでしょうね」

 「そのように、見られるのですね。固定資産台帳の作成も、ルーティン作業になっているとたいへん危険ですね」

 賢者は、そういいながら細かな会話までもメモを取ります。大げさに驚き、うなずいてくれると、さらに、税務調査員の口元が緩むかもしれません。


■ 固定資産管理規程の管理ルール

 「まずは、企業の内部で、固定資産管理規程などの固定資産の管理ルールがありますか。そして、それが存在していても、きちんと整備して機能していないところは、実は、最初の入れ物ができていないところです」

 「入れ物ですか?」

 「ここにつぼがあるとします。つぼには、ヒビが入り、水があふれてこぼれているものもあれば、あふれても、どんどん水をため続けていくつぼもあります」

 「どういうことですか?」

 「実地調査を行うと、多くの企業の担当者が、あらためて固定資産台帳を基に、工場の機械装置や備品などの整合性を一つひとつチェックして確認します。今回も、固定資産台帳には載っているのに、現物の資産が見当たらない、その逆に現物の資産はあるのに、固定資産台帳には記載がないということが起こりました。そのようなことが起こる企業は、まず、固定資産管理規程がないか。固定資産管理規程が存在していても、実は充分な機能をしていない企業なのです」

 「私どもの企業には、文書化された固定資産管理規程がありました。しかし、実地調査では、随分と食い違いが出てしまいました」

 「つぼがあり、固定資産管理規程というつぼの水をくむときの決まりはあっても、それだけではつぼから水が漏れたり、あふれたりするということです」

 「言いわけではないのですが、固定資産については、購入した時に固定資産台帳に資産ごとに設置場所や番号を入れて管理する仕組みになっています。資産番号は長年のルールに従って総務部門も経理部門もきちんと守られています。ほかにも、毎年の決算日には、現物実査をして確認する仕組みにもなっていました。機械を旧式から、新式のものに入れ替えたときにも、旧式の機械については処分をするルールになっています。このように、しっかりとした固定資産管理規程と管理ルールはあったと思います。それなのに、いったい、どうして、このようなことが起きるのでしょうか」

 賢者のいる企業は、申告漏れで、追徴課税される税額の大きさよりも、どうして、このようなことが発生したのか、どのような工夫をすればよいのか、さらにほかの企業の事例などを尋ねてきます。

 私は地方税研修の講師で全国、講演を行っています。固定資産税(償却資産)申告の疑問点については、ここで詳細を確認することができます。

笹目 孝夫
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