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固定資産税(償却資産)講座
第12回:誤らない固定資産税(償却資産)申告書の書き方(2)

2018年01月25日

■地方税法の読み方

 確定申告の基になるのは「法人税法」と「所得税法」ですが、固定資産税(償却資産)は前回説明した通り、「地方税法」に法的根拠を求めます。

 たとえば、地方税法の中には自動車に関する法律で「自動車税」「自動車取得税」「軽自動車税」などがありますが、その税の対象になる「自動車」とは、いったい何を指しているのでしょうか。セグウェイ、サイドカー付きバイク、キャンピングカーなどのけん引車両は含まれるのか否か。そのような「自動車」の定義が、「地方税法」では、それぞれの条文を読み解くことで、判別できるように記載されています。

 この「地方税法」で最初に述べられる定義規定は、「地方税法」を理解するのに、とても重要です。固定資産税についての記載は、地方税法第341条から始まります。最初は固定資産税に関する用語を明確に定義しています。

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 第三百四十一条
 固定資産税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 固定資産 土地、家屋及び償却資産を総称する。
 二 土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう。
 三 家屋 住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。

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 この定義を理解するには、法令の読み方の基本ルールを理解していなければなりません。特に税法では必須事項です。

 たとえば、「家屋」について、「住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう」とあります。ここで、「その他」と「その他の」どちらで書かれるかによって、意味がまったく異なってきます。

「その他」の場合:「その他」の前の語と「その他」の後の語は「並列」の関係
「その他の」の場合:「その他の」の前にある語が「その他の」の後にある語の一部

 法律用語では、「その他」は「並列的例示」、「その他の」は「包括的例示」と呼ばれ、使い分けがされています。ここでは、建物の「包括的例示」を示しています。このような法令の基本的な読み方のルールを一つひとつ注意し、税法を理解していくのです。

■固定資産税(償却資産)の定義

 固定資産税(償却資産)の定義は、「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)で......」とあります。これは決算書などの「償却資産」の定義ではなく、「固定資産税の中の『償却資産』」の定義です。同じ「償却資産」ですが、まず、ここを曖昧にしていると、企業会計・国税などを考える際に混乱が生じていきます。

 ここで、「土地及び家屋以外の」という記載があります。この「以外」も法令ではよく使われる表現です。この「以外」の法令の読み方ルールについて、例題で説明します。

 たとえば、「男性」の定義について考えてみます。広辞苑などには「男性とは、女性以外の個人をいう」とあります。では、逆に「女性」の定義はどうかというと「女性とは、男性以外の個人をいう」とは定義されません。この場合、女性の定義は「男女を分ける判断のひとつで、肉体的に子供を出産できることができる......」のような書き方がされています。つまり男女の区分は、判断材料として「女性」の特徴を詳細に記し、その例外である「男性」を「女性以外」というくくりで定義するような書き方をしているのです。

 よって、「以外」が用いられている場合、「以外」の前に示されているワードの定義を理解しながら、読んでいかなければなりません。

 固定資産税(償却資産)は、「土地及び家屋以外の」です。前のワードは「土地」と「家屋」です。そして、この「家屋」とは、固定資産税の中の「家屋」です。決算書、企業会計上の固定資産台帳に記載された「建物」と、ニアリーイコールであるかもしれませんが、完全イコールとして一致させているわけではありません。

 これは、固定資産税(償却資産)申告書を誤りなく書くために、重要な理解の一つとなってくるのです。

笹目 孝夫
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