求められるSXの取り組み 2023年が転換点。SDGsを経営に実装しよう
周知のように、持続可能な開発目標(SDGs)のゴールは2030年に設定されている。2020年からは「行動の10年」として取り組みの加速が求められる中、2023年に実践すべきはサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)だ。
取材・文◎宮本 優子
経済産業省が主導するSXの実現
安藤 光展さん
サステナビリティ・コンサルタント。「日本のサステナビリティをアップデートする」をミッションとし、上場企業を中心に情報開示・戦略策定・ウェブ/報告書制作支援などのアドバイザリーを行う。『未来ビジネス図解 SX&SDGs』(エムディエヌコーポレーション)、『創発型責任経営』(日本経済新聞出版・共著)ほか著書多数。
SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくことであり、そのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指す。「同期化」とは、社会の持続可能性に資する長期的な価値提供を行うことを通じて、社会の持続可能性の向上をはかるとともに、自社の長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上とさらなる価値創出へとつなげていくことを意味している。
経済産業省は、2021年5月に「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を立ち上げ、SXの具体化に向けた検討を進めるとともに、同年11月に立ち上げた「価値協創ガイダンスの改訂に向けたワーキング・グループ」において、SX実現のためのフレームワークとしての価値協創ガイダンスの改訂に向けた検討に注力。8回にわたる研究会の報告書として、2022年8月に「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」を取りまとめ、「価値協創ガイダンス2.0」を策定した。
「日本のサステナビリティをアップデートする」ことをミッションとして企業・団体のサステナビリティ推進のコンサルティングに従事している安藤光展さんは、SXのポイントは「X」すなわち、トランスフォーメーションにあると説明する。
「日本ではSDGs推進といえば、17のゴールにばかり目が向きがちですが、そもそも2015年の国連総会で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』では『Transforming our world(われわれの世界を変革する)』とうたっています。しかしながら、目標期限まで残り7年となった現状を見ると、肝心な『変革』までには程遠いといわざるを得ません。そこにあらためてスポットを当てたSXとは、業務改善というよりも、事業構造自体の変化という意味合いが強いものです。そして、トランスフォームするものは従業員のマインド、組織、ビジネスモデルの3つ。SXは企業がサステナビリティ経営を実現させるために、社会動向を考慮した組織およびビジネスモデルの構造改革を行い、企業価値を最大化させる戦略です」
本誌が実施したアンケートでは、SXについて「よく理解している」と回答したのは1割以下。「なんとなく理解している」を合わせても4割程度という結果となり、SXの認知度はまだ低い状況であることがわかった(図表1)。
図表1:SXとは何か知っているか(n=116)
その一方で、7割以上の人が「自社もSXに取り組むべきだ」と思っている点にも着目したい(図表2)。
図表2:自社もSXに取り組むべきだと思うか(n=116)
「行動の10年」にどう取り組むか
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