社内起業は、経営陣と社員の両輪がうまく回って初めて成り立ちます。ここでは、どんなことに留意して制度化すべきなのか、見ていきましょう。
トップのコミット
トップのコミットなしではなし得ない
社内起業を制度化して取り組むとなると、魅力的な事業案を生み出せるかどうか社員の力量によるところが大きいと見られることが少なくありません。しかし、私の経験則では、実際のところ成否の鍵を握るのは、起案する社員の方々の力量よりも、トップのコミットがどこまであるかということではないかと感じています。
新規事業の創出に課題を持った会社が新たに制度化して取り組んでも、新規事業を生み出すことは簡単ではありません。実現するためには相応の投資(人、モノ、金、時間)も必要ですから、それをなし得るためには、もちろんトップの強いコミットが必須です。
「試しに社員に考えてもらう」くらいの軽い思い付きで、成果を出せることは決してありません。短期的な成果が出ないとしても、胆力を持って取り組みを続けることが必要です。
目に見えた成果が出ないと、社内からさまざまな反対意見も出てくるでしょう。それを抑えて取り組みを支えられるのはトップしかいません。まずはトップの強いコミットがあった上で、制度化を準備せねばなりません。
全社の共通理解を
その上で、この取り組みの意味、意義、覚悟を全社的に十分浸透させ、理解をしてもらう必要があります。成果がうまく出てこなかったときの反対意見は、役員クラスからだけではありません。むしろ現場からの反対意見を想定しておく必要があります。当初は活発にアイデアが出ていたとしても、なかなか成果が出てこないと現場から「目の前の通常業務をおろそかにして、余計なこと(新規事業の検討)にうつつを抜かしているのではないか」という声が出てきたりします。
また、現場のマネジメントをしている中間管理職の立場からすると、普段は綿密に業務時間管理をしてマネジメントをしている中で、ほかのことに時間を割いている社員のことを許容し難い気持ちになります。現場の同僚や直接の上司に歓迎されない取り組みが、社内の現場で浸透するわけがありません。
これは、真面目に通常業務を行っているからこそ出てくる声なので、抑え込むのは得策ではありません。自社の将来を考えたときに、通常業務以外に新規事業にも取り組んでいくことが重要であると丁寧に説いて、理解をしてもらう必要があります。
トップとボトムの意思疎通
トップとボトムの悲しい擦れ違い
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
アクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
総務が押さえておくべき 2023(令和5)年に施行の法令改正情報
2023年は2022年に引き続き施行される育児・介護休業法のほか、労働基準法や労働安全衛生法、国民年金法の改正法令などが施行されます。本稿では今年に施行等される法令の中で、総務業務関連のものをピックアップしました。 -
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。