通報者も企業も守る 改正公益通報者保護法への対応

改正公益通報者保護法のポイント(2) 事業者等の義務

弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 安田 健一
最終更新日:
2022年04月20日
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組織の不正を未然に防ぎ、通報者を保護するための制度「公益通報者保護法」。2022年6月1日の改正法施行により、対象となる事業主には、内部公益通報対応体制の整備が義務化されます。ここでは、改正法のポイントととなる、事業者等の義務について解説します。

改正公益通報者保護法のポイント(1) 公益通報者の保護の拡大はこちら

事業者等の義務

前述した公益通報者保護の拡大が、すでに存在した制度の修正である一方、事業者等の義務は、今回の改正によって新たな制度・法的義務を定めるものです。

改正法では、事業者に対し、次の義務を課しています。

  1. 公益通報を受け、通報対象事実の調査をし、およびその是正に必要な措置をとる業務を行う者である「従事者」(改正法の条文では「公益通報対応業務従事者」と表現)を定める義務(改正法第11条第1項)
  2. その他、公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとる義務(同条第2項)

ただし、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については、これらの義務は努力義務とされています(同条第3項)。

従事者とは

事業者指針第3条第1項では、従事者の定義について、「事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない」と定めています。

この定義をさらに分解すると、次の条件を満たす者が従事者となります。

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※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

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弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士
安田 健一

経歴
2010年に弁護士登録以降、大企業から個人事業主、ベンチャーに至るまで、多種多様な企業に対して法的サービスを提供。
2013年8月から2016年2月までは株式会社エディオンに週の一部出向し、大規模小売業の法務部員として、消費者との契約やトラブル解決はもちろん、店舗に関する不動産契約や下請業者との契約、労務問題、独占禁止法対応、景品表示法対応等多種多様な企業法務を取り扱う。
2016年9月からニューヨーク大学ロースクールに留学し国際取引、米国会社法等を学ぶ。ニューヨーク州司法試験に合格し、同州の弁護士資格を取得。
2017年9月から2018年4月まで中国の北京天達共和律師事務所にて勤務。日系企業をクライアントとする中国の法律事務所で日中間の契約書チェック、日系企業の進出・撤退、現地子会社の訴訟や労務問題といった業務に従事。
2018年5月から2019年1月までタイ国三井物産株式会社に出向。取引や投資案件、社内規程の整備、海外にある関係会社の管理等、英語を公用語とする会社内で、国際企業法務の最前線を経験する。
2019年2月、日本の弁護士業務に復帰するとともに弁護士法人堂島法律事務所にグループ内移籍。現在は、留学経験と出向経験、また留学中に取得した公認内部監査人・公認不正検査士の資格を生かし、国内外の企業法務・コンプライアンス問題を全般に取り扱っている。


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