通報者も企業も守る 改正公益通報者保護法への対応

改正公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備

弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 安田 健一
最終更新日:
2022年04月21日
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組織の不正を未然に防ぎ、通報者を保護するための制度「公益通報者保護法」。2022年6月1日の改正法施行により、対象となる事業主には、内部公益通報対応体制の整備が義務化されます。ここでは、改正法を踏まえ、規程や体制をどう整備するべきか、見ていきます。

規程の作成・改訂

事業者指針でも明記されているように、「制度」として内部通報制度を制定する以上、その根拠である内部規程を作ることは必須です。すでに規程を有していた会社でも、今回の公益通報者保護法の改正や事業者指針の制定に伴い、一定の修正が必要な場合がほとんどでしょう。

内部規程では、内部通報制度の責任者、内部通報制度を利用できる者の範囲、内部通報の対象となる行為の範囲、内部通報がなされた場合の窓口部署、通報を受け付けた後の調査・是正措置・フィードバック等の処理体制を定めます。改正法に沿って、従事者の指定に関する規定も必要になるでしょう。もちろん、通報・対応制度の見直しをする場合(後述)には、それに沿って規程を修正する必要もあります。

会社が設置する内部通報窓口の通報対象行為は、公益通報者保護法の対象となる行為(刑事罰の対象。改正法を前提にしても、それに加えて過料の対象のみ)に限定せず、広く不祥事・問題行為について通報が可能とするべきですし、そのような例が一般的です。

加えて、内部通報者の保護のために、通報者への不利益な取り扱いの禁止や通報者を探索する行為を禁止する旨を定めます。併せて、従事者の秘密保持義務が改正法によって定められましたが、内部規程においても、従事者に限らず事業者の役職員が秘密保持義務を負う旨を明記すべきです。

通報・対応体制の見直し

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※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

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弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士
安田 健一

経歴
2010年に弁護士登録以降、大企業から個人事業主、ベンチャーに至るまで、多種多様な企業に対して法的サービスを提供。
2013年8月から2016年2月までは株式会社エディオンに週の一部出向し、大規模小売業の法務部員として、消費者との契約やトラブル解決はもちろん、店舗に関する不動産契約や下請業者との契約、労務問題、独占禁止法対応、景品表示法対応等多種多様な企業法務を取り扱う。
2016年9月からニューヨーク大学ロースクールに留学し国際取引、米国会社法等を学ぶ。ニューヨーク州司法試験に合格し、同州の弁護士資格を取得。
2017年9月から2018年4月まで中国の北京天達共和律師事務所にて勤務。日系企業をクライアントとする中国の法律事務所で日中間の契約書チェック、日系企業の進出・撤退、現地子会社の訴訟や労務問題といった業務に従事。
2018年5月から2019年1月までタイ国三井物産株式会社に出向。取引や投資案件、社内規程の整備、海外にある関係会社の管理等、英語を公用語とする会社内で、国際企業法務の最前線を経験する。
2019年2月、日本の弁護士業務に復帰するとともに弁護士法人堂島法律事務所にグループ内移籍。現在は、留学経験と出向経験、また留学中に取得した公認内部監査人・公認不正検査士の資格を生かし、国内外の企業法務・コンプライアンス問題を全般に取り扱っている。


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