通報者も企業も守る 改正公益通報者保護法への対応
公益通報者保護法の制度概要と改正の目的
弁護士法人堂島法律事務所 日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 博士(法学) 弁護士 安田 健一
最終更新日:
2022年04月18日

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組織の不正を未然に防ぎ、通報者を保護するための制度「公益通報者保護法」。2022年6月1日の改正法施行により、対象となる事業主には、内部公益通報対応体制の整備が義務化されます。ここでは、公益通報者保護法とは何なのか、制度の概要について解説します。
公益通報者保護法とは
以前からさまざまな報道等がされているように、会社の各種不祥事が明るみに出るきっかけは、その会社で不祥事の情報に触れた従業員等が、勇気をもって社内や社外に問題を明らかにする、いわゆる内部告発であることが珍しくありません。
しかし、そういった内部告発者が、いわゆる「犯人探し」の標的になったり、報復措置の対象にされることがあり得ます。そのため、内部告発者を保護するための法律や制度がなければ、従業員等は報復等によって自身に不利益が及ぶことを恐れて内部告発をためらってしまいます。
そこで、一定の条件を満たした内部告発者、いわゆる「公益通報者」を保護することにより、公益に関する法令が遵守される社会を実現することを目的として、公益通報者保護法が2004年に成立し、2006年に施行されました。
名だたる大企業が不祥事、特に長年社内で放置され続けた不祥事によって致命的なダメージを受け、役員の辞任はもちろん、ときには会社の破綻や身売り等にまでつながった例は、みなさんも報道でよく目にされていると思います。また、公益通報者保護法の制定前には、自らの勤務先のカルテルを告発した従業員が報復を受けて、長期にわたり閑職しか与えられなかったという事件も報道されていました。
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