女性社員の約8割が不定愁訴を感じているというアンケート結果を受け、株式会社エムティーアイが採用したのは、「ルナルナオンライン診療」を活用した福利厚生制度だった。その目的は、婦人科受診と低用量ピル服薬の支援にある。実証開始から2年が経過した今、どのような成果が出ているのだろうか。
取材・文◎武田 洋子
「女性優遇の制度」にしない
株式会社エムティーアイは、2015年から健康経営に取り組んでいる。その中で課題として浮かび上がってきたのが、女性社員のコンディションだった。2019年に実施した健康意識調査では、平均年齢約36歳の女性社員のうち、実に77%が不定愁訴を感じていたのだ。主な理由は生理に関する不調にあった。
経営企画統括部 人事部
鷲頭 有沙さん
そこで同社は2020年2月、産婦人科を受診しやすい環境をつくることで自身の健康に向き合うことを促し、また生理痛や月経前症候群(PMS)などの症状改善を目指し、「オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬の支援プログラム」の実証を始めた。採用したのは、グループ会社である株式会社カラダメディカが提供する産婦人科向けオンライン診療システム「ルナルナオンライン診療」だ。人事部で健康経営を担当する鷲頭有沙さんは、改善したい症状を抱えている人を中心に、社内募集をかけた。
「募集人数は40人。初回はクリニックで診察を受けてもらい、その後はオンラインで定期的に受診するという流れでしたが、コロナ禍で緊急事態宣言が出たあとは、時限的に初診からオンライン診療が可能となりました」
ピルが処方された場合はおおよそ2日以内に自宅に届けられる。診療代や薬代は会社の全額負担だ。再診はピルを飲み切るタイミングで利用者が診療日を予約。処方されるピルのシート数は、医師の判断により毎月だったり3か月分だったりと異なるという。
導入に際して鷲頭さんが気を付けたのは、「女性だけを優遇した福利厚生」と捉えられないことだった。女性特有の症状緩和が全社的なパフォーマンス向上につながることを納得してもらうため、導入前には産婦人科医を招いてセミナーを開催し、後日動画配信も行った。管理職を含め、男性社員の参加も見られ、着実に理解が進んだという。また、セミナーは当事者である女性たちへの啓発としても成功した。
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