企業成長のカギを握る 副業人材の活用

中小企業こそ副業人材を活用すべき理由がある

月刊総務 編集部
最終更新日:
2021年11月08日
somu211108ogp

副業人材の市場が活況だ。副業人材活用を推進する株式会社シューマツワーカーの代表取締役CEO・松村幸弥さんは、コロナ禍以降、副業を希望する人材も、そうした人材を活用する企業も共に増えていると体感している。一方、本誌が実施したアンケート結果では、人材を活用している企業は約1割にとどまった。副業人材が注目される背景とメリット、活用におけるポイントや労務の課題を探る。

取材・文◎武田 洋子

IT需要を背景にニーズが高まる副業人材

株式会社シューマツワーカーは、副業人材と企業をマッチングする日本最大級のプラットフォームを運営している。コロナ禍以降、登録者が増加し広告獲得コストが下がるなど、市場は急成長したという。副業人材の活用を希望する受け入れ企業も増えているそうだ。副業人材に対する企業の関心が高まっている背景を、同社のCEOである松村幸弥さんは次のように分析する。

松村 幸弥さん 株式会社シューマツワーカー 代表取締役CEO
株式会社シューマツワーカー 代表取締役CEO
松村 幸弥さん

ソーシャルゲームのディレクターとして働いたのち、2017年、副業したい個人と企業をマッチングするサービス「シューマツワーカー」を設立。現在は会員登録数が3万人を超え、日本最大級の副業人材マッチングサービスに成長している。

「まず、中小企業を中心にITに詳しい人材の需要が急増したことが挙げられます。コロナ禍によるテレワーク対応で、これまでかたくなに紙文化を守っていた企業もデジタル化をせざるを得なくなりました。しかしクラウドツールを導入しようにも、社内には知識を持った社員がいない。そこで副業人材に着目したと考えられます。また、緊急事態宣言が繰り返され、百貨店をはじめリアルな店舗で買い物をする客が激減しました。代わりとなったのがネットショップです。今やメーカーは、インターネットを介した小売りビジネス(EC)に踏み出さないと物が売れません。ネットショップを無料で簡単に作成できるサービスが人気を博していることからも、需要の高さがわかります。そしてここでもやはり、Webマーケティングに長けたIT人材が必要とされているのです。このように、IT人材への需要が非IT企業にも広がっているのが、ここ1、2年の顕著な傾向です。

次に、テレワークの態勢がある程度確立したことで、副業人材を受け入れやすくなっています。もともと副業人材活用を成立させるには、テレワークが外せないポイントでした。オフィスへの出社が条件だと、採用のハードルは上がります。でもコロナ禍による在宅勤務の拡大で、地方の物流や印刷業界など、これまでは出社がマストだった業界でもテレワークで働けるようになりました。結果的に全国の人材を活用することが可能になり、心理的・物理的な障壁が、一気に下がった印象です。あらゆる業界・業種で副業人材の活用が可能になったことは大きな変化でした。

最後のひと押しとなったのは、大企業や自治体が相次いで副業人材の活用を表明したことです。『正社員の終身雇用で形成する組織』からの脱却を明らかにし、業務委託人材を積極的に活用していく姿勢を示したもので、多くのニュースで取り上げられました。その影響力は多大で、人的リソースを確保する新たな選択肢として、全国津々浦々まで認識されたようです」

副業人材を活用するメリットは、中小企業の方がより大きい、と松村さんはいう。特に地方では、正社員を採用しようと考えても、そもそもの労働人口が少ない。少子高齢化で生産性を上げるためにもDX化は必須だが、そのためのIT人材は2030年までに、全国で最大79万人不足する、と経済産業省は発表している。しかもその貴重な人材は都心部に集中しているのだ。しかし、副業人材を活用すれば、かなり効率良くリソースを補うことが可能になる。

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


関連記事

  • 「働きがいのある会社」トップ企業のハイブリッドワークの形 戦略総務を実現できるデバイスとは? PR
  • コスト削減だけじゃない! 働き方が変わり、コミュニケーションも生まれる「照明」のすごい効果 PR
  • 災害への備えは平時から。企業の防災担当者を強力にサポートする東京都のサービスとは PR

特別企画、サービス