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自社の社員に副業を認めている企業が期待する成果とはなんだろうか。2018年に制度を作ったベイシス株式会社では現在、複数の社員が「パラレルキャリア」を実現している。その中の1人である人事総務部の上久保拓海さんに、実際の働き方やモチベーションについて取材した。
取材・文◎武田 洋子
パラレルキャリア制度で社員のスキルアップを支援

人事総務部人事課 チームリーダー
上久保 拓海さん
創業は2000年。ベイシス株式会社は通信インフラの構築・運用現場に、テクノロジーによる革新を起こしてきた。2018年、同社はパラレルキャリアの制度を整える。副業ではなく、あえて「パラレルキャリア」という言葉を使ったのには理由があった。副業というと収入増が主な目的であるイメージだが、パラレルキャリアがフォーカスするのは社員自身のスキルアップや視野の拡大、将来に向けた自己投資の一面だ。
制度を作った背景を、人事総務部の上久保拓海さんに尋ねた。
「2018年は、副業人材が注目されつつあった年です。当社でも『いずれ別会社に所属している人材が幹部候補になる日が来るかもね』と話していました。その流れで、優秀な人材を外部から獲得するだけでなく、自社の社員にも知見を広げてもらう機会が必要ではないかということになり、パラレルキャリア制度を導入したのです」
制度を利用するには人事部に申請を出し、承認される必要がある。承認のルールは5つ。禁じられているのは雇用関係の生じる働き方、競業、自社資源の無断利用など。いずれも社員の自己申告で、業務内容などを詳しく報告する義務はない。基本的には余暇をパラレルキャリアに使う前提で、労働時間の制限も特に設けていないそうだ。つまり、ワーク・ライフ・バランスや体調管理などは個々の裁量に委ねられている。
パラレルキャリアの【5つのルール】
- 請負、業務委託、自営はOK
- 雇用関係の生じる働き方はNG(正社員、契約社員、アルバイト)
- 競業の禁止
- 許可なく自社資源の利用を禁止
- 公序良俗に反する業務の禁止
「とはいえ当社は業務上、クライアント先に常駐している社員も多く、制度を活用しやすい環境とそうでない環境があり、今後の課題です。勤務時間をフルフレックスにしたり時短社員や週4勤務を認めたり、より柔軟な働き方を会社として模索していきたい。これは副業に限らず、介護中や育休中も含めた全社員の活躍につながると考えています」
パラレルキャリアの例は多彩だ。システムエンジニアがWeb制作を行ったりプログラミングスクールの夜間講師を務めたりする、本業の知見を生かしたケース。あるいは、個人的な得意分野を生かし、プロのミュージシャンとして活躍する社員もいる。サッカー・フットサルの審判員は、資格を生かした好例だ。みんな、勤務時間外の平日夜や週末に活動している。
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