2030年の予測と展望

2030年に向けて(4) 総務の未来を開くのは専門分野×総務の掛け算思考

月刊総務 編集部
最終更新日:
2021年12月24日
soumu221224100

コロナ禍により、それまでの長期予測は覆され、見直しを迫られることになった。あらためて、コロナ禍の影響や、それを受けて今後伸びていく分野と衰退する分野、ニューノーマルな時代に総務として活躍するために必要なことを、経営コンサルタントの田中大貴さんにうかがった。

取材・文◎武田 洋子

コロナ禍で固定費の削減が加速

コロナ禍で、「世界が一変した」といわれることがある。しかし田中大貴さんは、その言葉に違和感を覚えるという。

MAVISPARTNERS株式会社 代表取締役社長 田中 大貴さん
MAVIS PARTNERS 株式会社
代表取締役社長
田中 大貴さん

早稲田大学商学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ジェネックスパートナーズ、マーバルパートナーズ(現PwCアドバイザリーのDeals Strategy部門)、ベイカレント・コンサルティングのM&A Strategy部門長を経て現職。グロービス経営大学院およびグロービス・エグゼクティブ・スクールにて講師も務める。

「コロナ禍により物事がゼロから1へ変わったわけではなく、変化のスピードが加速したというイメージです。たとえば、電話やメールを利用したインサイドセールスは1990年代から存在しましたし、ここのところはやっているオンライン秘書のサービスも2015年にはすでにありました」

既存のシステムやサービスへの移行が一気に進んだのが、コロナ禍だったのだ。中でもリモートワークは最たるものだろう。改革したいと思いながらなかなか進められなかった組織にとっては追い風になり、数年先の未来へタイムスリップしたようなインパクトがあったはずだ。

社内的には、場所を選ばない働き方が軌道に乗ったことで、地方や海外に住む優秀な人材の採用の可能性が格段に広がった。ただし、完全リモートワークの仕組みができなければ、こうした時代の恩恵を享受することは難しい。人材獲得という面において今後、「チャンスを活用できる会社とできない会社」の差は開いていく。特に今は、大企業に比べてフットワークが軽い中小企業にこそ、チャンスがあると田中さんは指摘する。

社外的にも、リモートワークは多大な影響を及ぼした。取引に関する場所の制約は、もはやない。クライアントの意識が変わったおかげで、商談やプロジェクトが全てオンライン上で完結できるようになった。

「よく、コンサルティング業界はコロナ禍で大変だったでしょうといわれるのですが、当社の場合、2020年の売り上げは2019年の1.5倍に伸びました。地方のクライアントを獲得できたこと、オンラインになったことで1日に行えるミーティングの件数が格段に増えたことが理由です。また、地方企業から営業の電話やメールを受ける場面も増えました。つまり、どこで事業展開しても収益は獲得できるし、都心と同じサービスを受けられるようになったということです。私は、エリアの同質化が進んだと認識しています」

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


関連記事

  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR
  • 大切なのは「自社ならでは」のオフィスづくり 社員の「心」を解析すると幸せな働き方が見えてくる PR

特別企画、サービス