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コロナ禍により、それまでの長期予測は覆され、見直しを迫られることになった。あらためて、コロナ禍の影響や、それを受けて今後伸びていく分野と衰退する分野、ニューノーマルな時代に総務として活躍するために必要なことを、経営コンサルタントの田中大貴さんにうかがった。
取材・文◎武田 洋子
コロナ禍で固定費の削減が加速
コロナ禍で、「世界が一変した」といわれることがある。しかし田中大貴さんは、その言葉に違和感を覚えるという。
「コロナ禍により物事がゼロから1へ変わったわけではなく、変化のスピードが加速したというイメージです。たとえば、電話やメールを利用したインサイドセールスは1990年代から存在しましたし、ここのところはやっているオンライン秘書のサービスも2015年にはすでにありました」
既存のシステムやサービスへの移行が一気に進んだのが、コロナ禍だったのだ。中でもリモートワークは最たるものだろう。改革したいと思いながらなかなか進められなかった組織にとっては追い風になり、数年先の未来へタイムスリップしたようなインパクトがあったはずだ。
社内的には、場所を選ばない働き方が軌道に乗ったことで、地方や海外に住む優秀な人材の採用の可能性が格段に広がった。ただし、完全リモートワークの仕組みができなければ、こうした時代の恩恵を享受することは難しい。人材獲得という面において今後、「チャンスを活用できる会社とできない会社」の差は開いていく。特に今は、大企業に比べてフットワークが軽い中小企業にこそ、チャンスがあると田中さんは指摘する。
社外的にも、リモートワークは多大な影響を及ぼした。取引に関する場所の制約は、もはやない。クライアントの意識が変わったおかげで、商談やプロジェクトが全てオンライン上で完結できるようになった。
「よく、コンサルティング業界はコロナ禍で大変だったでしょうといわれるのですが、当社の場合、2020年の売り上げは2019年の1.5倍に伸びました。地方のクライアントを獲得できたこと、オンラインになったことで1日に行えるミーティングの件数が格段に増えたことが理由です。また、地方企業から営業の電話やメールを受ける場面も増えました。つまり、どこで事業展開しても収益は獲得できるし、都心と同じサービスを受けられるようになったということです。私は、エリアの同質化が進んだと認識しています」
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