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2030年に向け、日本企業はどのような現実に向き合っていくのだろうか。『社員の働きがいが生きがいに変わる志経営』など、数々の著書で企業経営の極意を伝えてきたアチーブメントグループのCEO・青木仁志さんに、いつの時代も飛躍する企業、それをつくり出す経営者の在り方、そして活躍し続ける人材など、幅広く語っていただいた。
聞き手◎月刊総務代表 豊田 健一
取材・文◎武田 洋子
コロナ禍がもたらした原点回帰の機会
豊田 世界的に、ようやくポストコロナへの移行が進み出しました。今日は、これからのビジネス環境やニューノーマルな働き方の進化を予測し、2030年に向けて企業や総務がどう進んでいくべきかをうかがいたいと思います。まずは、コロナ禍は日本社会や企業にどのような影響をもたらしたとお考えでしょうか。
青木 大事なものを見つめ直す機会になったと感じます。もちろん、500万人が亡くなった痛ましいパンデミックですが、その一方でこれまで遅々として進まなかったSDGsや地球環境課題への取り組みには大きな改善が見られました。みんなが、『環境の改善なくして永続的な繁栄はない』という真理に気付いたのではないでしょうか。原点回帰をする機会であり、そういう意味では肯定的な側面もあったと捉えています。
豊田 企業経営の視点ではいかがでしょう。
青木 こちらも同じく原点回帰です。会社というのは、縁ある人を幸せにするために存在すると私は考えます。しかし、近年は多くの会社が目先の損得を追いかけることに重点を置いてしまっていた。売り上げ偏重で株主評価ばかり気にしていたところから、本来の姿に戻ってきたと思います。本当にいい会社とは何か? 働くことや人生そのものの意味を再考した人が少なからずいたでしょう。私自身もそうでした。
豊田 コロナ禍に見舞われたという事実は一つですが、その影響については無数の解釈がある。捉え方により、企業の進路も分かれそうです。
青木 そうですね。この機会に「人の幸せとは何か」に向き合えたかどうかは、一つの分岐点になるでしょう。そもそも日本は、ずっと少子高齢化に伴う労働力の減少という課題に直面しています。女性や高齢者、外国人を積極的に登用する必要がありますが、人を大切にする組織にこそ、良い人材が集まるのは間違いありません。
豊田 働き方に多様な選択肢を用意し、一人ひとりが自律的に活躍できる環境を整えることが不可欠ですね。
青木 特に頭を使う仕事に関しては、リモートでも効率良く働けることがわかってきました。たとえば営業も移動時間が不要な分、オンラインの方が1日のアポイントメントを増やせます。今後、よりフレキシブルな働き方が加速するでしょうね。
豊田 一方で、「うちはみんなでワイワイガヤガヤする方が、アイデアが出るから」と、出社を求める経営者もいます。
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