総務の引き出し(BCP)

「リスクごとに策定が必要」という先入観は捨てよう BCPでみんなが誤解している3つのこと

BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家 昆 正和
最終更新日:
2025年04月04日
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私たちの社会や経済は今、さまざまな脅威にさらされているといっても過言ではありません。大地震や未知の感染症の大流行はいつまた起こるかわかりませんし、近年は気候変動の影響もより顕著になってきました。夏は40℃に迫る連日の猛暑、春から秋にかけては桁外れの大雨がもたらす水害や土砂災害……といったことです。これに加え、みなさんの日々の業務に特有のリスクもあるでしょう。サイバー攻撃や電力需給のひっぱくによる停電リスク、サプライヤー側のアクシデントによる調達難、食品メーカーや外食産業では食中毒の発生や風評被害なども警戒しなくてはなりません。
こうしたあまたのリスクに、企業はどう備えればよいのでしょうか。実は、答えは考えるまでもなくすでに決まっているのです。「BCP(事業継続計画)を策定し、継続的に運用していくこと」以外に選択肢はありません。しかし、このようにいや応もない書き方をすると、大きな壁にぶち当たったような無力感を感じる読者も少なくないでしょう。そこで本連載では、BCP策定と運用のポイントをわかりやすく解説していきます。

BCPにまつわる3つの誤解

これまで筆者は、幾度となく「BCPの策定がうまくいかない」「BCPは完成したけど本当にこれで役立つのか?」「地震対応のBCPを作るだけで手いっぱい。ほかのリスクを想定したBCPを追加するなんて考えられない!」といった意見をお聞きしました。実は、こうしたネガティブな見方には典型的な3つの誤解が潜んでいるのです。

(1)防災とBCPを混同している

防災とBCPは目的・役割が全く異なります。「防災」は災害の予防と発災時の安全の確保、そして被害を大きくしないための事前対策が主な目的です。一方「BCP」は、原因が何であれ、事業活動が混乱・停止する事態に陥ったときに、主要な製品・サービスの供給を止めないためにはどのような方針と手順が必要かを網羅した計画です(図表1)。

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プロフィール

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BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家
昆 正和

企業のBCP策定/気候変動リスク対策・適応策に関するアドバイス・講演・執筆活動に従事。一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった(ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。雑誌やWebへの寄稿・連載など多数。趣味は登山と読書。著者のnoteはこちら

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