総務の引き出し(BCP)

非常事態にどんなメンバーを参集すべき? 危機対応チームの5つの役割と対策本部の立ち上げ要件

BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家 昆 正和
最終更新日:
2025年06月05日
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今回よりBCP策定の本題に入ります。まずはBCP会議の進め方と、危機対応チーム、対策本部の立ち上げ方について紹介します。

BCP会議のメンバー構成は?

最初のステップは「BCP会議のメンバーを集める」ことです。BCPは、防災マニュアルを作成するように担当者が一人でコツコツと考えながら作るものではありません。事業の存続にかかわる事態にどう対処するかを決めるわけですから、経営的な判断のできる上層部やそれを部署ごとにサポートする中間管理層の人々の意見を反映させる必要があります。

そこで会議のメンバーについては、経営層(社長)、主要部門の長(部長または課長クラス)を中心とし、推進担当として事務局を置きます。社長が多忙で会議に出席できないときは、社長の考え方に最も近いキーパーソンに参加してもらったり、社長は重要な局面のみ出席し、その中間は実務者間で会議を進めたりするのが現実的といえます。この場合、事務局が随時社長に会議の結果を報告するのを忘れないようにしてください。事務局の役割は、ほかにスケジュール管理、意見・資料の取りまとめ、報告、BCPの文書作成などがあります。

一般的な中小企業のBCP策定に必要な時間は、一般的に1回1時間の会議×5回くらいです(机上での実務に要する時間は別とします)。毎回アジェンダを提示し、その内容を検討し、問題や課題が出たら次回までに解決策や方向性を示すという流れです。BCPのようななじみのないテーマで会議を行うと、議論があちこちに飛んで脱線する可能性があります。これを避けるには、事務局の方でたたき台となる素案をあらかじめ作成して会議メンバーに配布し、議論がぶれないようにしましょう。

危機対応チームの主な役割

何らかの深刻な事態が発生したとき、直ちに参集して危機を乗り越えるための行動を起こす組織は「危機対応チーム」、彼らが活動するための拠点は「危機対策本部」(以下「対策本部」と略します)と呼ばれます。ここではまず、「危機対応チーム」とはどのような役割を持つ組織なのかについて解説します。

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プロフィール

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BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家
昆 正和

企業のBCP策定/気候変動リスク対策・適応策に関するアドバイス・講演・執筆活動に従事。一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった(ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。雑誌やWebへの寄稿・連載など多数。趣味は登山と読書。著者のnoteはこちら

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