総務の引き出し(BCP)
重要書類の消失や停電の発生……事業継続するための代替手段は? 非常時に人員、電源を確保する方法
BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家 昆 正和
最終更新日:
2025年11月10日
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前回、事業にとって重要なコア業務とリソースがインシデントによるダメージを受けたとき、被害の程度と切迫性に応じた対応方法には、「仮復旧」と「本格復旧」の2つがあると述べました。特に時間的要求の厳しいコア業務については、急場をしのぐための仮復旧が不可欠であり、BCPの実効性を高める有効な戦略となっています。今回は仮復旧について見ていきます。
「あれがダメでもこれがある!」となるように準備しておく
仮復旧とは、具体的にはあらかじめ事業者の経験と知恵を生かした「代替手段」(図表)を用意しておくことを指します。
図表:代替手段の例
| インシデント | 影響を受ける業務 | 代替手段(仮復旧方法) |
|---|---|---|
| 人手不足 | S~Bランク業務 | 重要業務のジョブローテーションによるスキル・経験の拡充 退職者リストの維持 |
| 電話機の使用不能・通信障害 | 全業務 | スマホ・メッセージングアプリ・SNSの活用 無線電話の導入 |
| 重要データ・重要書類の消失 | S~Aランク業務 | 失われたデータの代替・回復は不可能。クラウドサービスによる定期的なリモート・バックアップを徹底すること |
| PCやサーバー、LANの停止 | S~Bランク業務 | 暫定的に手書きで対応 クラウドサービスの利用 モバイルアクセスの確保 |
| 長時間の停電 | 全業務 | EV車からの給電・発電機 ソーラー発電による電力の確保 |
| 施設・建物への立ち入りが困難 | 全業務 | リモート作業体制の整備 バックアップオフィスの確保 協力・連携先への業務委託など |
| 重要品目の調達が困難 | S、Aランクの業務 | 予備在庫の保持 複数の供給先の確保 |
※「影響を受ける業務」のS~A、Bランクとは、この業務の復旧優先度を表しています。
ソフト・ハード面で次のような方法で代替対応を行うことができます。
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