改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務

ハラスメント事案、弁護士に相談する前にそろえておくべき情報はこれ

杜若経営法律事務所・第一東京弁護士会所属 弁護士 友永 隆太
最終更新日:
2023年05月22日
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使用者側(企業側)の労働問題について実績が豊富な友永弁護士に、企業側が不利にならないためのポイントを解説していただく連載「改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務」(隔月第4週月曜日更新)、第6回はハラスメント事案発生時、「弁護士に相談する際、そろえておくべき情報」についてです。

ハラスメントが疑われる事案が発生してしまったとき、何はさておき弁護士に相談したくなることと思います。しかし、スムーズに適切な助言を受けるためには、状況に合った情報をあらかじめそろえておくことが重要です。

このコラムを読み、いざというときに備えましょう。

企業がハラスメント事案において弁護士に相談する局面とは

社内でハラスメント事案発生時、企業が弁護士に相談する局面として、大きく

  1. 事案が発生しこれからハラスメント調査を開始する局面
  2. 一通りのハラスメント調査を終え、被害者および加害者に対し対応を行う局面
  3. ハラスメント事案を理由として企業が被害申告者から損害賠償請求を受けた場面

の3段階に大別できます。以下、それぞれの場面ごとに、そろえておくべき情報について以下解説します。

1.事案が発生しこれからハラスメント調査を開始する局面

社内でハラスメント事案発生時に企業が弁護士に相談する目的は、遺漏なく適法に調査を遂行するための助言を得るという点にあります。この観点から、以下の情報をそろえておくことで、スムーズに適切な助言を得られるようになります。

被害申し出者が、調査に対して希望することは

ハラスメント調査に当たり、被害申し出者は会社に調査の上対処を行ってもらうことを希望している場合だけではなく、「単に今困っていることを聴いてほしい」「加害者に名前を出してほしくない」などのケースもあります。

会社としてハラスメント調査を進めることが適切な状況に至っているか、被害申し出者の調査に対してどのような希望を述べているかは調査開始の有無の出発点となるので、情報として収集しておく必要があります。

被害申し出者の申告しているハラスメントの具体的内容は

被害申し出者の述べている申し出は、「ハラスメントにあっている」「上司のあたりが私にだけきつい」「ひどい暴言を受けた」など、抽象的な内容の場合が多いです。

被害申し出者に対して、「いつ」「どのような場面で」「誰から」「どのような言動を受けたのか」を具体的に特定した形で、受けた事実を供述させた上で申し出事実を5W1Hに基づいて整理しておくと、その後の調査対応に当たっての弁護士との連携もスムーズとなります。

被害申し出者の申告内容を裏付ける客観的証拠と、証拠の使用方法

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著者プロフィール

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杜若経営法律事務所・第一東京弁護士会所属 弁護士
友永 隆太

団体交渉、残業代請求、労働災害や解雇事件等の労働問題について、いずれも使用者側の代理人弁護士として対応に当たっている。日本法令『ビジネスガイド』(2019年8月号「外国人労働者が関係する労組トラブル最前線」/2021年8月号「職場のアウティングをめぐる問題と法的責任・社内整備」)、『SR』(第65号「介護事業所のカスハラ対策 書式と社労士実務」)、綜合ユニコム『月刊フューネラルビジネス』(2019年11月~2021年3月連載『法律家から学ぶ葬祭業界の「労務問題」』)など多数執筆。著書に日本実業出版「教養としての『労働法』入門」(共著)、「改訂版 就業規則の変更による労働条件不利益変更の手法と実務」(日本法令)、「未払い残業代請求の法律相談」(青林書院)がある。年間セミナー登壇40回以上。
杜若経営法律事務所ウェブサイト「労務ネット」
弁護士 友永隆太Twitterアカウント

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