改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務

御社の○○ハラ教育、社内に行き届いていますか? 「行っているつもり」に潜む落とし穴

杜若経営法律事務所・第一東京弁護士会所属 弁護士 友永 隆太
最終更新日:
2023年01月23日
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使用者側(企業側)の労働問題について実績が豊富な友永弁護士に、企業側が不利にならないためのポイントを解説していただく連載「改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務」(隔月第4週月曜日更新)、第4回はハラスメントの「周知・啓発・教育が不足していて不利になったケース」についてです。

ハラスメントという言葉は広く使われていますし、周知はもちろん啓発・教育も「行っている」という企業も少なくないと思います。ですが、貴社のその周知・啓発活動は必要十分に行われているでしょうか……?

パワーハラスメント防止のための周知・啓発義務

改正労働施策総合推進法(以下「改正パワハラ防止法」)により、中小企業も含め、事業主は、職場におけるパワーハラスメントを防止するために講じなければならない義務の一つとして、事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発(改正パワハラ防止法第30条の2、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」[令和2年厚生労働省告示第5号])が定められています。

これは一次的には行政上の義務であり、これを怠ったからといって直ちに民事上の損害賠償請求権が発生するものではありません。しかし、事業主は従業員が生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をしなければならない義務、すなわち「安全配慮義務」を負っています(労働契約法第5条)。

実際に発生してしまったハラスメント事案で、「周知・啓発が十分に実施されていなかったこと」とハラスメントに伴う損害との因果関係が肯定された場合には、事業主は安全配慮義務違反を理由として損害賠償責任を負うことになります。

企業がハラスメント防止の周知・啓発義務を怠った場合にはどうなる?

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著者プロフィール

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杜若経営法律事務所・第一東京弁護士会所属 弁護士
友永 隆太

団体交渉、残業代請求、労働災害や解雇事件等の労働問題について、いずれも使用者側の代理人弁護士として対応に当たっている。日本法令『ビジネスガイド』(2019年8月号「外国人労働者が関係する労組トラブル最前線」/2021年8月号「職場のアウティングをめぐる問題と法的責任・社内整備」)、『SR』(第65号「介護事業所のカスハラ対策 書式と社労士実務」)、綜合ユニコム『月刊フューネラルビジネス』(2019年11月~2021年3月連載『法律家から学ぶ葬祭業界の「労務問題」』)など多数執筆。著書に日本実業出版「教養としての『労働法』入門」(共著)、「改訂版 就業規則の変更による労働条件不利益変更の手法と実務」(日本法令)、「未払い残業代請求の法律相談」(青林書院)がある。年間セミナー登壇40回以上。
杜若経営法律事務所ウェブサイト「労務ネット」
弁護士 友永隆太Twitterアカウント

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