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末松仁彦さんが株式会社バーテックの3代目社長に就任したのは、リーマンショックで業績が悪化した2008年のこと。そこから14年、同社がGPTWジャパン(Great Place to Work® Institute Japan)の「働きがいのある会社」<小規模部門>で第4位に選出されるまでの軌跡をうかがった。
取材・文◎武田 洋子
理念経営にかじを切るも一方的な想いに気付く
工業用ブラシの設計開発・製造・販売を事業とする株式会社バーテックは、社員数33人。2008年、父親の後を継いで3代目の社長となった末松仁彦さんは、リーマンショックのあおりを受けて悪化していた同社の業績を、利益管理を徹底することでV字回復させる。その後も業績は順調に向上したが、退職者が続出してしまったという。
「業務負荷の向上に対し、採用や人材育成が追い付かなかったのと、行き過ぎた数値管理があったのではないかと反省しています。私は当時、稲盛和夫さんの盛和塾で経営を学んでいたのですが、このままではいけない、と強く思いました」
理念重視の経営へシフトしていかなければ会社は存続できない、と思い定めた末松さんは、経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の、心と技術における進化発展に貢献する」と定め、2015年に50項目から成る「バーテックフィロソフィ」を確立。同社は新たな方向へとかじを切った。
フィロソフィの各項目を社員一人ひとりが業務に落とし込めるよう、週に1度フィロソフィについてグループでディスカッションし、毎日の昼礼でペアを組んで実践報告をし合う。採用プロセスにも活用し、フィロソフィに共感できる人材を採用する。こうした施策を経て、上司が部下に業務をアサインする際にもフィロソフィにひも付けて目的を説明するなど、社内の共通言語として浸透したという。
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