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地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第3回

2016年11月02日

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今回は、前回に引き続き地理的表示(GI:Geographical Indication)の申請主体について説明します。


■GIの申請は所定の「生産者団体」が行うことができます
生産者団体」については、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)の第2条第5項において、要約すると以下のように規定されています。

「生産業者を直接又は間接の構成員とする団体(法人でない団体にあっては代表者又は管理人の定めのあるものに限り、法令又は定款その他の基本約款において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)であって、農林水産省令で定めるものをいう」

GIは農林水産物等が対象となるため、JAからの申請が多いようですが、法人格を有さない団体であっても申請が可能です。ちなみに、弊所が申請代理をした「伊予生糸」の申請人は「愛媛県西予市蚕糸業振興協議会」であり、法人格を有さない任意団体です。

GIとよく比較される制度として、地域団体商標制度というものがありますが、こちらは地域の特産品等にその産地の地域名を付した名称を地域ブランドとして保護することを目的とするものであり、GIのように品質を保証するものとは趣旨が異なります。

この地域団体商標ですが、主体的要件として法人格を有する組合等であることが要件となっています。したがって、地域団体商標の登録を検討したものの、主体的要件を満たさないためにGI申請に踏み切った任意団体もあるようです。


■団体に加入の自由の定めが必要です
もう一点、気をつけなければならないことは、原則として生産団体に加入の自由の定めが必要とされることです。

申請の際には、上述の地理的表示法第2条第5項に規定する条件を満たしていることを、規約や定款等を提出して明らかにする必要があります。特に任意団体の場合は、規約等で加入の自由の定めがきちんと定められていない場合があるので注意が必要です。「伊予生糸」のケースでも、協議会規約に関し、「加入脱退の自由について記載がないため、規約変更を要する」という補正命令が農水省から発せられ、規約の修正を余儀なくされました。


■その他注意点
以上は、法律的側面からみた主体的要件です。しかし実務的に重要なことは、団体の中に生産者を取りまとめるリーダー的な人がいるかどうかという点です。申請人が団体である以上、GI申請を行うかどうかについても合意形成をする必要があり、これが実際にはとても大変な作業となります。

弊所でも以前、GI申請をある団体に提案したのですが、組織内でGI申請について採決を取ったところ一票差で反対派が賛成派を上回り、申請に至らなかったということがありました。

GIを申請するのみならず、登録後どのように活用していくのかまで見越して、GI申請に向けて組織を引っ張っていけるような人が団体内にいることが望ましいです。

次回は、GI申請の手続について説明したいと思います。


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鈴木 徳子
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