コラム

法務関連 / 知的財産権・著作権・特許 / 地理的表示

地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第4回

2016年12月01日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

 今回は、地理的表示(GI:Geographical Indication)の申請手続について説明します。

■ 申請から登録までの流れ

 GI申請から登録までの流れは次のようになります。

(1)生産・加工業者の団体は、申請書と添付書類(明細書や生産行程管理業務規程等)とともに、農林水産省(申請書の宛先は「農林水産大臣」)に提出します。
(2)申請書等の内容は、地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)や施行規則に従っているかについて審査されます。
(3)一定の基準を満たした申請については、その内容が公示されます(公示の内容は、農林水産省のWebサイトで見ることができます)。
(4)公示の日から3か月の間、第三者からの意見書提出の期間が設けられています。
(5)意見書提出期間の終了後、学識経験者の意見聴取が行われます。
(6)意見聴取をクリアしたものについては、登録料納付手続きを経て登録となります。
(7)登録後、その申請内容は公示されます。

■ 補足

 上記が、申請から登録までの簡単な流れとなりますが、(2)審査の段階で、申請内容が法律及び規則に従っていないと判断された場合には、補正指令が出されます。ちなみに、弊所が申請代理をした「伊予生糸」については、申請後2回程補正指令が出されました。

 申請日は2015年6月1日でしたが、第一回補正指令は、2015年6月22日、第2回補正指令は、2015年8月18日に発せられました。それぞれの補正指令に対する応答期限は約1か月でした。また、(3)公示と(4)学識経験者の意見聴取の間に、農林水産省の現地調査が入り、現地調査後の質問に応じる必要もありました。

 「伊予生糸」の場合は、申請から登録までの期間は8か月でしたが、最近登録になった産品のほとんどは1年以上かかっています。
 
 これまでに申請された産品は現時点で100件くらいあると聞いていますし、審査官の数も少ないと聞いていますので、対応しきれていないのかもしれません。

■ 申請書類の書き方のポイント

 下記の図は、農林水産省のWebサイトで公開されている「地理的表示法について」という資料の抜粋です。この図では、○○干柿という架空の産品を例に挙げて、地理的表示のイメージを説明しています。

chiri04.png

 申請書には、産品(農林水産物等)の生産地、特性、特性がその生産地に主として帰さられることの説明等を記載する必要がありますが、ポイントは、「生産地」と「産品の特性」がどのような結びつきがあるのか、という点につきます。

 上の図は、申請書の書き方のポイントが端的にまとまっているので、これをしっかりと理解する必要があります。

 「伊予生糸」の例を挙げると、繰糸に使用される「水」を生産地の自然的な特性として記載し、水質検査結果データを添付して申請したのですが、補正指令で、「水のどの成分が、生糸の品質に影響しているのか」について説明を求められました。科学的に説明することは不可能であったため、補正で水質検査結果データを削除して、「四国山系をその源とする水(水道水を含む)」という表現に修正しました。

 審査では、「生産地」と「産品の特性」との結びつきについて、客観的な根拠を求められます。不用意に説明のつかないデータを提出してしまうと、墓穴を掘ることになるので注意が必要です。


 次回に続く。

鈴木 徳子
​​MENU