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においマネジメント【その5】あなたの嗅覚、大丈夫? 実は不調の原因かも

2019年08月22日

■嗅覚は味覚にも影響する

 ウナギの美味しい季節ですね。まず全体の独特の香りを味わい、次に口に含んでウナギを味わうことにより、風味や味覚を楽しむことができます。もし、嗅覚(においを感じ取る鼻の働き)がなかったら、ウナギではなく、ゴムのようなものをかんでいる感覚になってしまいます。

 鼻が利かないと、コーヒーの味わいもキャビアやトリュフの味もずいぶん違ったものになってしまうことでしょう。また、ガス漏れに気付けない、食べ物が腐っているのに気付かず食べてしまうなど、生命の危険につながることもあります。

■日本人は嗅覚障害が起こりやすい

 嗅覚障害には、大きく分けて2つの種類があります。まったくにおいを感じない「嗅覚脱失」と、弱くしかにおいを感じない「嗅覚減退」です。鼻の高い欧米人は空気が通りやすく鼻の病気が少ないのですが、日本人をはじめ東洋人は鼻の病気が多くなっています。

 特に日本は、トイレなどあちらこちらに芳香剤があり、家庭では柔軟剤などの石油由来の人工的なにおいが多いのも特徴です。このような強いにおいを日常的にかいでいると、嗅覚障害を起こしやすいともいわれています。小さなお子さんなどは特に、正常な嗅覚を保つために、自然の中にある柔らかいにおいに接することが大切です。

■嗅覚の衰えは認知症の前触れ

 また、年を取るにつれて嗅覚は衰える傾向にあります。とある老人介護施設では、関西医科大学精神神経科学教室の木下利彦教授によって、嗅覚低下と認知症の関係が認められました。

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 これからの定年が65歳であるにもかかわらず、40歳代、50歳代で若年性認知症が増えていることに加え、認知症発症平均年齢は61歳であることから、認知症は非常に身近なリスクになってきています。認知症の最初の兆候が嗅覚の衰えならば、まず対策として嗅覚を鍛えてみませんか。

■嗅覚を鍛えるには

 「香り」というだけで嫌悪感を覚える日本人が多いようですが、まずは香りを毛嫌いせず、さまざまな香りがあることを理解しましょう。たとえば、香水の香り、柔軟剤の香り、木の香りなど、それらが、石油由来か、天然植物由来か考えてみることから始めてみるのです。

 さらに、嗅覚の衰えを予防・改善する簡単なトレーニング法は、「身の回りのにおいを、何のにおいか意識して感じることを習慣付けること」です。たとえば次のようなものになります。

(1)朝起きたら、窓を開けて、深呼吸しながら、外のにおいを感じること。
(2)食事をするとき、飲み物を取るときは、必ずどんなにおいか感じること。
(3)電車から降りたときの街のにおい、雨のとき、晴れのときのにおいを感じること。

 また、ドイツのある研究グループの実験では、鼻疾患を持たない人を対象に、4種類の香り(バラ、ユーカリ、レモン、クローブ)を1年間、1日2回15秒ずつかぐというトレーニングを行った結果、嗅覚能力の向上が認められました(※)。余裕があれば、このようなトレーニングを生活に取り入れてみませんか? こうしたトレーニングで、あなたのにおいセンサーの数は確実に増え、脳内回路のネットワークが強まります。

 夏は食べるもののにおいを意識し、秋に向けて身も心も、そして、鼻もリフレッシュして出勤してみましょう。

※出所:Hummel T, et al: Effects of olfactory training in patients with olfactory loss. Laryngoscope 2009; 119:496-499.

青木 恵
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