コンプライアンス:下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律

最終更新日:2025年05月30日

「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」は、2025年5月16日に成立し、2026年1月1日に施行予定の法改正である。この改正は、サプライチェーン全体の取引の適正化および中小企業の振興を目的としており、以下の主な変更点がある。

主な改正内容

用語の見直しと法令名の変更

  • 「親事業者」 → 「委託事業者」
  • 「下請事業者」 → 「中小受託事業者」
  • 「下請代金」 → 「製造委託等代金」

これに伴い、法律の名称も以下のように変更される。

  • 旧:下請代金支払遅延等防止法
  • 新:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
  • 旧:下請中小企業振興法
  • 新:受託中小企業振興法

これらの変更は、発注者と受注者の対等な関係を強調し、従来の上下関係を示唆する用語を見直すことを目的としている。

取引適正化のための規制強化(旧:下請法)

  • 価格協議の義務化:委託事業者が中小受託事業者との価格協議に応じない、または必要な情報提供を行わずに一方的に代金額を決定することを禁止。
  • 手形払いの禁止:支払期日までに代金相当額を得ることが困難な手形払いや、その他の支払手段(電子記録債権やファクタリング等)を禁止。
  • 運送委託の追加:製造や販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加。従業員基準の追加:従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設し、規制および保護の対象を拡充。
  • 面的執行の強化:関係行政機関による指導および助言に係る規定、相互情報提供に係る規定等を新設。

中小企業振興のための支援強化(旧:下請振興法)

  • 多段階の事業者連携支援:サプライチェーンにおける複数の取引段階にある事業者が作成する振興事業計画に対し、承認・支援を可能とする。
  • 適用対象の拡大:製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加。また、法人同士においても従業員数の大小関係がある場合を対象に追加。
  • 地方公共団体との連携強化:国および地方公共団体が連携し、全国各地の事業者の振興に向けた取組を講じる責務を負い、関係者が情報交換など密接な連携に努める旨を規定。
  • 主務大臣による執行強化:主務大臣による指導・助言を行っても状況が改善されない事業者に対し、より具体的措置を示して改善を促すことができる旨を追加。

本改正法は、2026年1月1日に施行される(一部の規定は公布日から施行)。

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