コラム

法務関連 / 知的財産権・著作権・特許 / 知的財産権・著作権

知らないと危険!著作権・肖像権(その9)

2013年05月16日

■財産とそうでないものを区別できますか?
 
 前回は「権利」についてお話しました。

 他人に何かを強制したい場合に、そのことを国家権力が認めてくれる状態であれば、その強制したい要求について「権利がある」ということになります。国家権力が認めるかどうかは、もっぱら法律に合っているかどうかという点で判断されます。

 ところで<日本国憲法というものが日本国における法律の原点にあるのだ>ということは義務教育で習いました。

 その憲法の中の第29条の部分では、

「財産権は、これを侵してはならない。」
「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」

という文章があります。

 「財産権」とは財産に関する権利という意味でしょうが、これだけではピンと来ませんね。「財産」とは何かということもまた、簡単に説明しにくい問題です。

 海辺で貝殻が落ちていたとしたら、その貝殻は財産でしょうか?普通は「貝殻なんか財産ではない」という答えになるでしょう。

 では、あなたがその貝殻を「きれいだな」と思って拾ったとします。
それを見ていた誰かが、あなたの手からその貝殻を奪って逃げていったとしたら、そのときあなたはこういうふうに思いませんか?

 「コラ!どろぼうー!!」

 泥棒というのは他人の財産を盗むことを意味します。
つまりあなたは財産を持っていて盗まれたということになりますね。つまり、あなたが持っていた貝殻は、あなたが拾った瞬間からは財産だったということです。

 貝殻のように<物体として存在する財産>を独占する権利については民法という法律で定められていて、「所有権」と呼ばれています。(民法206条)

 このように、人間社会では「最初に独占した人に独占権を認める」という原理があり、その独占状態を互いに認め合うことで争いを減らし、経済というものを発展維持させるという原理もあります。

 これらの原理から導き出された権利のひとつが著作権という権利です。

 つまり、著作物というものを最初に独占した人を著作者と呼び、その人に独占権を認めて保護すべきだとする原理があって、その原理を法律として具体化したものが著作権法であるとも考えられます。

 これは「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」という憲法の趣旨に基づいたもので、著作権法の第21条で、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と定めています。

 要するに著作権は財産権であって、財産でもあります。

 「この財産は私が独占しているのだから勝手に利用しないでくれ」という主張があり、その主張を支持する法律が用意されている場合に、その財産を独占する権利、つまり財産権が存在していると考えられるのです。

 みなさんが「自家用車という財産を持っている」という場合には、自家用車という物体の所有権を持っているということであり、家やマンションであれば不動産の所有権を持っているということであり、絵を描いたのであれば絵の著作権を持っているということで、これらはいずれも財産だということなのです。おわかりいただけたでしょうか。

日野 孝次朗
​​MENU