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固定資産税(償却資産)講座
第4回:固定資産台帳作成が経営の根幹だった(4)

2017年04月14日

■ キャシュフロー経営と税務調査

 前回は「虚偽」の固定資産台帳の提示について書きました。地方税務職員が、固定資産台帳の「虚偽」について、指摘します。すると、担当者から「これは虚偽でも、ましてや悪意でもない」といわれるときがあります。

 そして、さらに地方税務職員が問い詰めると、中小企業の人の中には「役所や、大企業とは、そもそも違うのだ。そんなきれいごとでは、経営は務まらない」とつぶやく人が現れます。「今は、企業としては社員の給与を払うこと、資金繰りを考え、事業拡大すること、販売不振を打開することなどを優先すべきなのだ」と力説します。そして、そのような企業は、誠実に忠告をしてくれる税理士の声には耳を貸さず、とりあえず合わせてくれる税理士にくら替えするというようなことも起こってきます。

 一般財団法人 企業共済協会の「企業倒産調査年報(2015年度)」によると倒産原因の1位は「販売不振」で、2位は「既往のしわよせ」(会社の業績が悪化していく中、現状から目を背け、指をくわえて状況を見守っていた結果による倒産)となっています。

 そこで、ほとんどの経営者は「販売不振」「既往のしわよせ」を避けるためにも、「売上高」「原価率」「人件費」などを考えます。そして、まずはキャシュフローを、重要と考え、キャシュフロー根幹とした経営を実践していきます。

 確かに、キャシュフローによる経営は重要で、キャシュフローを考えないと黒字倒産も起こります。しかし、このキャッシュフロー経営の中には、突然、一気に悪化するという想定も含まれなければなりません。急に、キャッシュが必要になる場合です。事例として、震災、金融危機、訴訟、関連会社の倒産等があります。これを視野に入れていないキャッシュフロー経営は危険です。そして、この事例の一つには、国税、地方税による税務調査による追徴課税もあります。

 地方税も、国税と同じ国税徴収法が適用されます。時に、数百万、数千万円の追徴課税がされます。国税、地方税とも、根拠のない追徴課税をすることはありません。担税力がある企業なのに、それを実行しなかったと判断されます。
税務「不申告」が「人件費」「原価の高騰」「販売不振」などより優先されることはありません。

 そして、震災、金融危機、訴訟と同様に、この追徴課税には、待ったなしでの、急な資金繰りが求められていきます。これが、キャッシュフロー経営の現実です。


■ 賢者の質問

 税務吏員の頃、実地調査に入ると、聡明で優秀な総務・経理パーソンに出会うことがありました。実地調査の会話でも、「賢者の質問」をしてきます。
 
 ここでいう「賢者の質問」とは、問題点の本質を捉えた、知的で上質な問い掛けのことです。地方税の実地調査のときでも、そこから何かを学びとろうとするのです。

 そんなとき、このような総務・経理パーソンのいる企業は、きっと永続して発展していくだろうと感じました。その後も、それを証明するかのように、震災、金融危機、関連会社の倒産などの突然のキャッシュフローの悪化が生まれる状況でも、乗り越え、順調な経営体質を維持していきました。

 実は、固定資産税(償却資産)の税務吏員というのは、新規企業の把握と、既存企業の廃業を把握するのも、重要な仕事の一つなのです。

 具体的には償却資産申告書を発送のために、新規企業へは送付、廃業した企業への送付不要の判断をする作業があります。

 この作業をおろそかにすると申告書の郵送費にかかわってきます。行政は、常に経費削減を求められています。無駄のない郵送費にしなければなりません。

 そのような作業を行っていると、へたなコンサルタントより、どのような業種、事業形態、組織風土、そして人材を持った企業が、長く生き残り、廃業になっていくかがわかってくるのです。時系列で企業を追っていくため、それも皮膚感覚としてわかってきます。

 地方税の実地調査に入ったとき、聡明で優秀な総務・経理パーソンは、どのような「賢者の質問」をするか、そして、そのあとどのような対応をしていくかを、次回、紹介していきます。

 私は地方税研修の講師で全国、講演を行っています。固定資産税(償却資産)申告の疑問点については、ここで詳細を確認することができます。

笹目 孝夫
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