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新総務考 【その21】「場」の価値を高める演出

2017年04月21日

 「場」の価値は、企業のブランディング戦略や人材獲得の観点で、企業経営に不可欠な無形資産的価値を持つものです。 また、労働生産性を引き上げ企業風土変革の基点となるものです。こうした人間の感性や心理に影響力を及ぼす「場の価値」を高めていく「場力」の演出について、「アフォーダンス」コンセプトを取り入れたアプローチを紹介します。


artscape「現代美術用語辞典 1.0」より抜粋
アフォーダンス理論は、アメリカの心理学者J・J・ギブソンが提唱した認知心理学における概念で、「afford」(-ができる、-をあたえる)」と「-ance」の造語。アフォーダンスとは、動物(人間)に対して環境が提供するために備えているものであるとする。すなわち、物体、物質、場所、事象、他の動物、人工物などといった環境のなかにあるすべてのものが、動物(人間)の知覚や行為をうながす契機をつねに内包している(アフォーダンスをもつ)。たとえば椅子は「座る」ことをアフォードしているし、床はそこに立つことをアフォードしている。また知覚する動物の種が異なれば、アフォーダンスも異なる。


 「場力」を最大化するには、オフィス環境が、そこで働いている人々にどのように作用するかの多面的考察が必要です。アフォーダンスは、工業デザイン分野で紹介されること(ドアノブのデザインなど)が多いのですが、私は、この「生動物(人間)に対して環境が提供するために備えている」演出をオフィス環境「場」創りに応用しています。

 「場」の主要素たるオフィス空間の広さ、照明、色彩、温湿度、香り、雑音といった人の五感にかかわるものに加え、家具・什器などの質感、そして、行動特性に合ったスペースデザインと「心の豊さ」を感じられる環境演出にこだわり、ナレッジワーカーの知的生産性を刺激する取り組みを行っています。
 「場」のチカラは、なかなか認識し難いものですが、経営の根幹を成す人の思いや、やる気を高めてゆくチカラを有しています。
 組織の「場力」を高め、「場」の付加価値創造と企業の業績向上に貢献していくかが総務FM部門の重要なミッションの一つですが、留意しなくてはならない問題もあります。
 それは、経営が「場の価値」を「場のコスト」として捉えてしまうと、本質を見誤り、単なる無駄遣いと認識されてしまうことです。
 「場の価値」は、価値創造の原動力である知識労働者の生産性向上投資、と経営に認識しもらう努力も欠かせません。

岡田 大士郎
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