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新総務考 【その25】ダイバーシティ & インクルージョン

2017年09月07日

 今回は、ダイバーシティマネジメントについて考えてみたいと思います。

■ 女性の活躍場

 企業内の女性管理職比率を上げていく取り組みが進められています。
 「男女雇用機会均等法」が1986年4月に施行され、28年が経ちます。
 いわゆる、総合職の幹部候補として入社した1期生の中には、すでに役員になっている方もいるでしょう。しかしながら、まだまだ女性役員、管理職の数は少ないのが現状です。
 1997年の全面改正を経て、2006年に再改正されて以来、経営者意識や職場の理解は進んでいるように見えます。しかしながら、現場ではまだまだ多くの問題が内在しているのが実態です。
 2006年の改正時には、表面上は差別に見えない慣行や基準が、実際には一方の性に不利益となる「間接差別」を禁止し、妊娠や出産などを理由とする退職強要や職種・配置転換などの不利益な扱いの禁止、さらに女性だけなく、男性への
 セクハラ防止対策を企業へ義務付けられたものの、依然として払拭できていない組織もあるのが実情です。
 この原因は、職場の意識、本音と建前の差に問題があるのではないでしょうか。
 日本は依然として男性社会の色彩が濃く、男性管理者の中には、出産育児といった女性社員のライフステージに敬意を払い、また理解したふりをしながら、腹の底では「この忙しい時期に......だから女性社員は困るんだよな」と毒づく輩も少なからずいます。
 経営側も、法令遵守を意識し、女性に「優しい制度」を作り女性を特別扱いして延命するケースもあるように思われます。産休・育休制度は整備されているものの、権利を行使して休みを取って復職してみると、元の職場や希望先には配属されず、「時短勤務なんだから仕方ない......」とあきらめざるを得ない、といった事例は枚挙にはいとまがありません。
 女性を特別扱いしなくても普通に働けるよう、働き方全体、残業、時間当たりの生産性、評価といった働き方の根幹から改革することが先決です。このテーマは、すべての社員の意識改革、いい換えれば会社の風土を変えてゆくことが必要なのです。
 女性の登用と活躍の場があれば組織は変わってきます。
 自発的に助け合い、理解し協力し合う雰囲気を部門、チーム単位で積み重ねていくことができるようになります。
 これからは、女性マネジャーたちが自らインナーブランディング、人間関係を考慮した場の創造、ファシリティマネジメント手法に女性の感性と視点を取り入れた組織風土改革にチャレンジしていけば、女性が働きやすく、また働きがいのある職場となり、必ずや会社力は向上すると確信しています。

■ 若手の活躍場

 日本の組織では、依然として年功序列制(というより正確には年序列制といった方が良いかもしれません)が根強く残っています。
 年長者や上長の立場からは、後輩や部下に対して「あいつはまだ若い。まだまだだな......」的な発言をよく耳にします。
 若手の才能や能力が先輩や上長より優れていても、発揮できるチャンスがないまま「経験年数」を積み上げる風土です。
 日本では「就社」の場合、新卒入社で見習いから始め、大規模組織では3-5年で異動を経験しながら、社会人として、また仕事人として成長し10年位で管理職となってゆくのが一般的ですから、若手の活躍場はかなり限定されています。
 一方、若手で挑戦意欲がある人は「起業」して活躍している人がいます。
 若者には潜在能力が秘められています。就社した若手に活躍場を与え、会社力を高めるマネジメントこそダイバーシティインクルージョンです。

■ 高齢者と多国籍ナレッジワーカーの活躍場

 日本の労働者人口が年々減少し、生産年齢人口割合はすでに70%を切り、20年後には55%まで低下すと推計されています。
 少子高齢化時代の中で企業はどのように変質していくべきでしょうか。
 私は、日本の社会でシニア人材の活躍場と国外からの人材活躍場をどんどん増やすことが必要だと思っています。
 知識労働者が少なくなる国に未来はありません。
 この課題は、ダイバーシティマネジメントの最重要課題だと思います。
 とはいえ、政治や社会制度が変わらないと何もできない......総務FM部門で何ができるの?と思われるかもしれません。
 この問題への具体的な取り組みには、総務FM人の"「場」創りの発想"の中に多くのヒントがあると思います。
 企業価値は、企業が抱える知識資産の総量と、それら知識資産をベースとしたイノベーションパワー、つまり、価値創造活動に従事する人材力により規定されます。
 価値創造に従事する人材のポートフォリオバランスとバリューチェーンの構築「場」を創ることが求められます。
 オンプレミスでナレッジワークする人は現役組の役目、そしてリモートワークによりオンプレミスナレッジワーカーの「知」を刺激する役目や、多様な価値観をうまくつなぎ合せてゆく役目はシニア組や多国籍組の活躍場。もちろん、オンプレミスで活躍するのもいいでしょう。
 働き方の多様化を「場」創りを通して実現してゆく事も総務FM部門の役割です。サテライトワーク、在宅ワーク、インターネットオフィス、バーチャルオフィス、ナレッジライブラリー etc......。ダイバーシティマネジメントの「場」創りでヒントになるキーワードです。

■ ハンディキャップワーカーの活躍場

 ハンディキャップがありながら、立派に社会貢献をしている人がいます。
 しかし、依然として働く機会を持てない多くの障害者の方々がいる現実もあります。
 企業は、特例子会社制度の活用や直接雇用を増やす努力をしていますが、多くは人事部門が法令遵守の観点で尽力しているのが実態です。
 日本の社会では現場意識がまだまだ低く、障害者の活躍場は限定されているように思います。
 私は、総務FMは「ワークスタイルプランナー」たる役割もあると考えています。「場」創りの一環として多様なワーカーをいかに最適配置する仕組みを作るかは、人事部門だけに任すのではなく、人事部門と共に総務FM部門が主体性を持って取組むべき課題です。障害者の活躍場はたくさんあるはずです。発想の転換が大事です。

岡田 大士郎
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