コラム

法務関連 / 知的財産権・著作権・特許 / 総務の知的財産戦略

総務の知的財産戦略 第19回

2018年06月19日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
 今回から意匠制度を活用した知的財産戦略について話を進めていこうと思いますが、具体的な戦略の前に、その前提となる意匠の特徴について、まず解説したします。

■意匠とは?

 「意匠」というと聞きなれない言葉になりますが、いわゆる「物の外観のデザイン」です。そして、それを保護するための権利が「意匠権」です。

 身近なものでは、指輪や新幹線のデザインが意匠登録されています。

   isyotoroku1.jpgのサムネイル画像   isyotoroku2.jpgのサムネイル画像

 意匠は物の外観のデザインとご説明しましたが、意匠権の権利範囲はデザインが同じ、または似ているもののすべてに及ぶというのではなく、次の表に示すように、そのデザインが使われる物品が、その物品と同じものか、または似ているものである必要があります。

isyotorokuhyo.png

※「〇」は権利範囲が及ぶことを示し、「×」は権利範囲に含まれないことを示す

 したがって、デザインが似ていても、そのデザインが使われている物品が全く異なる場合には、意匠権の権利範囲外になりますので、注意が必要です。

■意匠制度の特徴

 意匠権を取得するためには、下図に示すように、特許庁で審査を受ける必要があります。

isyotorokuzu.png

引用:経済産業省四国経済産業局 四国地域知的財産戦略本部

 ただし、意匠制度には、特許制度のような審査請求制度はなく、原則としてすべての出願が審査されます。また、特許制度のような出願公開制度もなく、登録されるまで出願した意匠が公開されることもありません。

 そして、意匠制度には、ほかの知的財産制度にはない、次のような独特な制度もあります。

・関連意匠制度
・部分意匠制度
・組物の意匠制度
・動的意匠制度
・秘密意匠制度

 これらの制度については後程ご説明いたしますが、これらの意匠制度を活用することによって、独自性のあるデザインを保護することができます。その結果、デザインで他社製品と差別化することができるので、価格競争に巻き込まれにくくなります。

 このような特徴を持つ意匠制度ですが、現時点ではそれほど活用されていません。しかし、2018年5月23日に経済産業省から「デザイン経営」宣言という報告書が公表されたこともあり、政府もデザインによる我が国企業の競争力強化に注力し始めています。今後は意匠に注目が集まるものとも思われます。

 次回は、意匠を活用した知的財産戦略について具体的に解説したいと思います。

高松 孝行
​​MENU