総務にしかできない、会社の文化を「創る」仕事とは?

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コロナ禍により社内におけるコミュニケーションの機会が減っている今、会社の文化の形成が難しくなっています。今回は、会社の文化を「創る」上で、総務部門がいかに重要な役割を担っているかについて考えていきたいと思います。
FMクレド
私が代表理事を務める一般社団法人FOSCでは、「FMクレド15箇条(以下、FMクレド)」というものを提唱しています。FOSCの創設に貢献した、前代表理事のクレイグ・カックスさんが作成したものです。ファシリティマネジメント担当者の心得であり、ほぼ総務業務にも共通するものです。以下に15か条を掲載します。
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This is MY building
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自分の経営概念を持つ FM is MANAGEMENT
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It’s all about Money 二番目に大きい間接経費の管理人
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Alignment (正しいFMはない)
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文化の担い手
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FM is 改善 (改善人間)
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目標のないFMはFMではない
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You can’t manage what you don’t measure 測定しないものは管理できない
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Know your numbers
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MBWA (Management By Walking Around)
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お客様と消費者の違いを知る
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評判管理と期待管理
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Learn by doing (身体で覚える)
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Don’t fear mistakes (失敗を恐れない)
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リポートのないFMはFMではない
いずれ全ての説明をしていく予定ですが、今回はこの中の「5.文化の担い手」について、紹介しようと思います。なお、FMクレドについては、FOSCで定期的に開催していますオンラインサロン「FOSC café」で学ぶことができます。
場を通じて文化を「創る」
本コラムの初回「総務に異動は『左遷』? 総務の評価について考える」において、下記のように記しました。
「働く場(オフィス)を司るのは総務。働く場は、社員が輝く舞台装置、舞台が変われば、役者(社員)も演じ方(働き方)を 変えざるを得ない。総務が変われば、会社が変わる」
「場」には働き方を変える力があり、それを創るのは総務である。つまり、総務の働きが、会社を変えることに大きくつながる、という意味です。当然ながらそれは社風や文化にも及びます。つまり、働く「場」を通じて、総務は会社の文化の担い手となるのです。それがFMクレドに明示されています。
これは本当に大きな役割です。会社の根幹を創ることになるからです。この場合の「つくる」は、「作る」という単なる作業ではなく、創造性を発揮しながら自社オリジナルの場と文化を「創る」ことを意味します。
場を創ることがいかに大きな意味を持つのか。コロナ禍を経験し、働く場はオフィスだけにとどまらないことが明らかになりました。しかし、その中心となるのはやはりオフィスです。従業員を役者とたとえるならば、オフィスは舞台装置です。舞台が変われば役者も演じ方を変えざるを得ず、舞台装置であるオフィスは従業員の働き方に大きく影響を与えます。
働き方改革全盛期のころ、まずは人事制度の改革が行われました。ただ、制度対象者には意識されましたが、目に見えないがゆえに、なかなかインパクトがある変革には結び付きませんでした。一方、勤務する従業員が必ず使い、目に見えるものがオフィスです。オフィスが大きく変わることで、大きな変革が実現されました。
このオフィスという舞台装置を司る総務部門は、絶大なパワーを持っているはずです。そして、コロナ禍によって舞台装置は在宅、さらにコワーキングスペース等のサードプレイスやワーケーションというように、オフィスを飛び越えて進化していきました。そしてここにきて、バーチャルオフィス、メタバース等、仮想空間も「働く場」の一つとして存在し始めました。総務部門の管轄範囲がどんどん拡大し、その分、変革を起こすチャンスが巡ってきたのです。
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