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多彩な業界、規模の総務担当者が一堂に会する「総務サロン」。第46回が8月4日に開催された。同じ総務であればこそ共感できる数々の課題について共有。ディスカッション後の懇親会でも話題は尽きなかった、あっという間の2時間をリポートする。
取材・文◎武田 洋子
業界も規模もバラバラな「総務担当者」が一堂に会す
今回、参加していただいた総務担当者は32人。業界も規模もバラバラながら、「総務担当」という圧倒的な共通項は強く、月刊総務代表の豊田による開会あいさつの前から、すでに名刺交換や自己紹介、雑談が始まっていた。

総務は社外に出る機会が極端に少なく、他企業との交流がほとんどない。しかし、これほど他社と情報交換をして有意義な職種もないのではないだろうか。なぜなら、総務の仕事は業界を問わず重なっている。社会の変化を受けて、今、自社が直面している課題は、他社にとっても同じく悩みの種なのだ。
開催にあたり、参加者は事前に話したい課題を提出。意見を参考にしやすいよう、おおよその企業規模をそろえた6つのチームに分かれ、それぞれに選出したファシリテーターが場を回す。46回目となる「総務サロン」だが、過去には大きなテーマを開催者側が決めた上で議論してもらい、最後に結論を発表する形を取っていたこともある。しかし、チームごとに話し合う内容を自由に決めた方が、議論が弾むのではないかという声があり、今回は発表もなしとした。目的は、より多くの人と名刺交換し、業界を越えたつながりを広げることにある。結果的に、雑談も交えた和やかな交流になったようだ。


コロナ禍を経て共通する課題。一体感の醸成や業務の効率化
開会前の雑談などから自然とファシリテーター役の人が決まり、チームメンバーおのおのが持ち寄った課題について1時間、議論をする。事前の課題シートを見ると、「この機会に他社の取り組みを知りたい」というテーマは、いくつかに大別される。たとえば、オフィスのレイアウト変更、リモート環境下における社内コミュニケーション、そして生産性向上につながる業務効率化のアイデアなどだ。いずれも、コロナ禍を経て多様化する働き方に対応する過程で、総務の誰もが経験してきたテーマといえるだろう。「総務って社内からこういわれがちですよね」と、経験談に共感の笑いが起こる。
「自社がこれから導入しようかと検討中の施策について、先に着手している方の成功ポイント・改善点などを聞けるのがありがたい」「オススメのシステムを共有できたのが有意義だった。ベンダーの営業さんの話より、本当に知りたいのはユーザーの口コミ。価格の相場観もつかめた」 ―― 参加者の感想から、「経営陣の右腕となり、社員の働く環境を整える」という使命を帯びた者同士、どこまでも協働できる総務ならではの強みを感じる。事業領域が違っていても課題を共有できる。そして事業領域が同じライバル社であっても、総務に限っては競う必要がない。
一人ずつ順番にテーマを提示し、みんなで話すスタイルで、全員が均等に発言する機会を得ながら、ちょうど1時間で一巡。このあと懇親会を実施した。


オンラインでは実現できない、オードブルやワインとともに活気ある懇親会
懇親会の会場は、別テーブルの人たちとも名刺交換をしてもらえるよう、あえて隣室に設置し移動。ケータリング事業の株式会社CQREEの協力によるオードブル、すし、ウナギなどが並び、ビールやスパークリング・赤・白ワインといったドリンク類も提供。乾杯後は、まだ話し足りないテーマについてあちらこちらで輪ができ、回遊しながら人が新たに加わっていく。料理も好評で、久々に「人が集まる」ことのにぎわい、楽しさが溢れていた。


今回のような活気は、オンラインで完全に再現することはなかなか難しい。ちょっとした雑談やささいな反応から、話は転がり、広がっていくものなのだ。ちょうど1時間で懇親会は終了し、第46回「総務サロン」は幕を閉じた。
「総務サロン」の参加者の多くが、「こういう機会はなかなかない」と口にする。「上司から『他社の取り組みをしっかり聞いてくるように』といわれて来た」など、会社が背中を押すケースもあるようだ。
問題が多様化する中、自社だけで解決できる時代ではなくなった。サポートツールもサービスも世の中に数多くあるが、他社が何を選び、どう使っているのか、忖度のない意見交換が求められている。「総務サロン」から、一つでも会社に持ち帰るものがあれば成果といえるだろう。すぐではなくても、今日の交流の種が忘れた頃に芽吹く可能性はある。


今後も「総務サロン」は定期的に開催予定であり、「月刊総務プレミアム」会員は無料で参加できる。第47回の開催は10月26日を予定しているので、この機会にぜひご参加いただきたい。お申し込みはこちらから。
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