ハラスメント事案、弁護士に相談する前にそろえておくべき情報はこれ
使用者側(企業側)の労働問題について実績が豊富な友永弁護士に、企業側が不利にならないためのポイントを解説していただく連載「改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務」(隔月第4週月曜日更新)、第6回はハラスメント事案発生時、「弁護士に相談する際、そろえておくべき情報」についてです。
ハラスメントが疑われる事案が発生してしまったとき、何はさておき弁護士に相談したくなることと思います。しかし、スムーズに適切な助言を受けるためには、状況に合った情報をあらかじめそろえておくことが重要です。
このコラムを読み、いざというときに備えましょう。
企業がハラスメント事案において弁護士に相談する局面とは
社内でハラスメント事案発生時、企業が弁護士に相談する局面として、大きく
- 事案が発生しこれからハラスメント調査を開始する局面
- 一通りのハラスメント調査を終え、被害者および加害者に対し対応を行う局面
- ハラスメント事案を理由として企業が被害申告者から損害賠償請求を受けた場面
の3段階に大別できます。以下、それぞれの場面ごとに、そろえておくべき情報について以下解説します。
1.事案が発生しこれからハラスメント調査を開始する局面
社内でハラスメント事案発生時に企業が弁護士に相談する目的は、遺漏なく適法に調査を遂行するための助言を得るという点にあります。この観点から、以下の情報をそろえておくことで、スムーズに適切な助言を得られるようになります。
被害申し出者が、調査に対して希望することは
ハラスメント調査に当たり、被害申し出者は会社に調査の上対処を行ってもらうことを希望している場合だけではなく、「単に今困っていることを聴いてほしい」「加害者に名前を出してほしくない」などのケースもあります。
会社としてハラスメント調査を進めることが適切な状況に至っているか、被害申し出者の調査に対してどのような希望を述べているかは調査開始の有無の出発点となるので、情報として収集しておく必要があります。
被害申し出者の申告しているハラスメントの具体的内容は
被害申し出者の述べている申し出は、「ハラスメントにあっている」「上司のあたりが私にだけきつい」「ひどい暴言を受けた」など、抽象的な内容の場合が多いです。
被害申し出者に対して、「いつ」「どのような場面で」「誰から」「どのような言動を受けたのか」を具体的に特定した形で、受けた事実を供述させた上で申し出事実を5W1Hに基づいて整理しておくと、その後の調査対応に当たっての弁護士との連携もスムーズとなります。
被害申し出者の申告内容を裏付ける客観的証拠と、証拠の使用方法
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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