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総務の知的財産戦略 第7回

2017年04月05日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。

 今回から、技術者と弁理士との打ち合わせにおける具体的なやり取りを例に挙げて、総務の知的財産戦略について解説いたします。

 「この技術を使ったものを社外の人に見せたことはありますか?」
 技術者から発明相談を受けているときに、弁理士はこのような質問をすることがあります。

 特許権を取得するには、対象技術がいくつかの条件(要件)を満たしている必要がありますが、その条件のうち(1)今までに存在していなかった新しい技術であること(新規性を有すること)、(2)通常の技術者が既存の技術から容易に思いつかない技術であること(進歩性を有すること)が特に重要になります。

 そこで、弁理士は、まず対象技術が社外の人(第三者)に知られているかどうかを確認するために、冒頭に記載したような質問をします。もし社外の人に見せたことがある場合には、第三者がその技術をすでに知っているということになるので、上記(1)のいわゆる新規性がない技術に該当し、特許権を取得することができなくなります。

■ 総務部が開発部にアドバイスを

 ここで、総務部の方に関与していただきたいことがあります。せっかく開発した技術が特許を取得できるように、ぜひ開発部にアドバイスしていただきたいことがあります。

 試作品ができると、その試作品を展示会に出品したり、取引先等にサンプル提供したりすることが多いと思います。その時に、開発部に「特許を取得する必要がないか?」とまず聞いてください。

 「特許を取得する必要はない」という回答であれば何もする必要はありませんが、「特許を取得したい」という回答があった場合には、対応策を考える必要があります。

 通常、展示会に試作品を出品すると不特定多数の人に技術が知られてしまうことになり、そのままだと新規性がなくなってしまいます。そこで、このような場合には、展示会の開催日前までに特許出願を済ませておく必要があります。

 一方、取引先等からサンプル提供を求められた場合には、展示会と同様に、試作品を提供する日までに特許出願を済ませておくことが望ましいですが、難しい場合には提供先との間で試作品に関する秘密保持契約を締結するという方法もあります。秘密保持契約を締結しておけば、サンプルを提供しても新規性はなくならないという取り扱いになっています。

 さらに、これらの対応策を取るにしても前もって準備が必要となります。たとえば、特許出願をするには出願予定日よりも、少なくとも1か月以上前に弁理士に出願依頼をしておく必要ありますし、秘密保持契約を締結するにしても相手方に秘密保持契約を締結することについてあらかじめ合意しておく必要があります。

 このように、開発した技術が使われている試作品に関して、展示会への出品やサンプル提供を行う際には、状況に応じて戦略的に考える必要があります。展示会への出品やサンプル提供については、開発部だけでなく、営業部との調整も必要になるかもしれません。この点からも、総務部が積極的に特許出願に関与すべきではないでしょうか?

 次回も、技術者と弁理士との打ち合わせにおける具体的なやり取りを例に挙げて、総務の知的財産戦略について解説いたします。

高松 孝行
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