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総務の知的財産戦略 第9回

2017年06月01日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。

 前回前々回と、総務部が、特許取得の可能性を高めることに寄与できることを説明しましたが、さらに特許の権利範囲を大きくすることにも寄与できることを説明いたします。

■ 発明に必須の要素

 技術者の説明を聞いて発明を理解したあと、弁理士はさらに次のような質問をすることがあります。

「この部分(工程)がなくても、同じような効果がありますか?」
「この部分(工程)を〇〇〇に置き換えても、同じような効果がありますか?」

 技術者は、自分が実際に作った具体的な装置や製造方法を念頭に置いて、弁理士に発明を説明することが多く、実際の装置や製造方法では必要な要素であっても、その発明には必須のものではないということがよくあります。

 そこで、弁理士は、上記のような質問をして、発明に必須の要素はどれかを確認しているのです。

 また、上記のような質問の回答を聞き、技術者が説明した効果が発明の直接的な効果であるのか、発明に必須ではない要素を加えたことで生じる効果であるのかを確認することもあります。

(特許権の権利範囲は、発明を構成する要素の数が少ない方が一般的に広くなると考えられているので、弁理士は最小の構成要素で発明を表現しようとします。また、発明の構成要素とその効果とを明確にするために、弁理士は、発明の直接的な効果と、付加的な効果とをきちんと区別して明細書に記載しようとします)

■ 権利範囲の広い特許権を取得するために

 ただ、このような質問を受けているときの技術者は、具体的な装置や製造方法の細かな点に注意が向いてしまい、発明をより広い視点から見ることができないといったケースが少なくありません。

 そこで、その打ち合わせに同席している総務部の方から技術者に対して、前回のコラムと同様に、競合会社の名前を具体的に挙げて「〇〇〇〇会社(競合会社名)の技術はどうですか?」と声を掛けてほしいのです!

 そして、さらに技術的なことも知っていたら、「〇〇〇〇会社の(競合会社名)の製品△△△には、×××という部品がなかったと思いますが、この発明でも、×××は必要ないのでは?」と踏み込んだ発言をしてくれると、非常に助かります。

 この発言(アドバイス)だけで、より権利範囲の広い特許権を取得できるようになるかもしれません。

 たとえば、このアドバイスを聞くことにより、弁理士は×××が付加的な要素であることに気付き、その部分を除いた形で発明を表現するかもしれません。これは、上述したように特許権の権利範囲を広げることを意味します。

 総務部の方は、営業部とも日常的に情報交換をしていると思いますので、営業部から競合会社の製品に関する独自情報を入手していたり、技術者とは違った観点でその製品を見ることができるのではないかと思います。
 このような総務部の立場を生かしたアドバイスで、より権利範囲の広い特許権を取得できる可能性が高まるのです。

 ぜひ総務部ならではのアドバイスをしてください!
 次回も、技術者と弁理士との打ち合わせにおける具体的なやり取りを例に挙げて、より権利範囲の広い特許権を取得できる方策を解説いたします。

高松 孝行
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