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総務の知的財産戦略 第8回

2017年05月01日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。

 今回も、技術者と弁理士との打ち合わせにおける具体的なやり取りを例に挙げて、総務の知的財産戦略について解説いたします。


■ 技術的ポイントを探し出す

 前回のコラムにも書いたように、対象技術が社外の人(第三者)に知られているかどうかを確認した後、弁理士は次のような質問をすることがあります。

「この技術に似た技術を知っていますか?」

 弁理士は、従来技術(すでに知られている技術)がどのようなものかを理解するという目的と、対象技術と従来技術の"違い"(対象技術の技術的ポイント)を理解するという目的のために、このような質問をします。

 技術者は、対象技術を開発するために、他社の技術を参考にすることが多く、対象技術に一番近い技術を知っていることが多いです。

 そこで、弁理士は、上記のような質問をして、対象技術とそれに一番近いと思われる従来技術との"違い"を聞き出し、従来技術と比較して、対象技術に進歩性があること(通常の技術者が既存の技術から容易に思いつかない技術であること)を主張できるか検討しているのです。

 また、弁理士は、特許庁の審査段階で、ある程度似たような技術が発見されたとしても、特許化できるように対象技術のポイントを理解する必要があります。

 そこで、弁理士は、上記のような質問をして、技術者から対象技術と従来技術との"違い"を聞き、対象技術の技術的ポイントをできるだけ多く探し出そうとするのです。この技術的ポイントが多ければ多いほど、特許になる可能性が高くなります。


■ 総務担当者が特許権取得に貢献する

 ただ、このような質問を受けている時の技術者は、自分が参考にした技術だけに注意が向いてしまうため、より広い視点から見た競合他社の似たような技術についてまで思いつかないといったケースが少なくありません。

 このようなときに、その打ち合わせに同席している総務部の方から技術者に対して、競合会社の名前を具体的に挙げて「〇〇〇〇会社(競合会社名)の技術はどうですか?」と声を掛けるほしいのです!

 その一言で、技術者の思考の枠が広がり、より広く、かつ強い特許権を取得することができるようになるかもしれません。

 たとえば、技術者がこの一言を聞くことにより、競合会社の技術を思い出し、弁理士にその会社の技術を説明することになると思います。それをヒントに、弁理士がより幅広い視点から見たアイデアを特許できることに気付くかもしれません。

 特許の保護対象はアイデアなので、実際に部品や装置等を作らなくても、理論上作ることができるのであれば、より幅広い視点から見たアイデアをも特許にすることができます。

 実際に研究・開発を行わない総務部でも、このようにして特許権の取得に大きく貢献することができるのです。このような点からも、総務部が積極的に特許出願に関与する意義はあるのではないでしょうか?

 次回も、技術者と弁理士との打ち合わせにおける具体的なやり取りを例に挙げて、総務の知的財産戦略について解説いたします。

高松 孝行
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