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総務の社内PR大作戦
第8回:いよいよ社内PRの本格化

2017年06月20日

 今回は、Step4「問題解決事例の社内・社外共有(問題解決型総務)」です。ここまで来れば、経営層や社員との信頼関係も積み上がり、堂々と社内PRをしても、受け止め方が好意的になります。あまり実績がなく、信頼関係も十分でない状態で社内PRをすると、単なる「がんばっていますアピール」になってしまいますが、受け止める側の経営層や社員が「がんばっているな」と感じてくれている状態での社内PRは、とても有効に機能します。彼らがファンや「パートナー」になって応援してくれるようにもなります。

 社内アピールの方法は大きく3つあります。
(1)社内報の活用
(2)トリセツの作成
(3)社外広報の活用

 社内報の活用に関しては、前回ご紹介した私の経験談がイメージしやすいでしょう。福利厚生の契約施設利用者の事例や、総務だからこそ実践できる社員の問題解決事例を、社内報で紹介してもらいましょう。通達文書のようなお知らせではいけません。具体的な事例でなければ、使い方をイメージできませんし、見込み顧客がトライアル顧客になることも、リピーターにまで育っていくこともありません。ぜひ、前回の内容を読み直し、御用聞きを徹底して問題解決事例を積み上げて、社内報で紹介してください。

■トリセツを作る

 私は、お客さまから「広報活動の社内理解が進まない」とご相談されると、よく「社員が広報の使い方を理解できるような『トリセツ』は作っていますか? 指をくわえて『社員が相談しにきてくれない』といっていても、何も進みませんよ」とお伝えしています。

 ぜひ、「総務の取扱説明書」を作りましょう。
 取扱説明書にはいくつかの類型があります。たとえば、組み立て家具や登録に手順を要するようなものは、導入マニュアルのように、使い始める前の状態を詳しく解説します。テレビやスマートフォンのような、使い始める前はコンセントに入れたり充電したり電源を入れたりするだけで済む場合は、取扱説明書の内容は機能解説に比重が置かれます(最近は、使い始めるまでの手順を取扱説明書として製品と一緒にいれ、細かな機能説明はWebに頼る例も多くなりました)。そのほか、よくある課題や悩み、困ったことなどを解決するヘルプマニュアルのようなものがあります。取扱説明書の中には、これらの要素がすべて含まれているものもあります。

 さて、部署の業務を理解してもらい、適切に「使ってもらう」ためには、どのパターンがよいでしょうか? 端的にいえば、ヘルプマニュアルのようなものが最適です。

 社員の側は、管理部門の使い方を十分に理解できておらず、ニーズを言語化できません。むしろ、管理部門の側も、社員にどう使ってもらいたいのか、言葉にできないケースも多いでしょう。だからこそ、取扱説明書として、自分たちの部署が社員のために何ができるのか、社員がうまく言葉にできない課題や悩みを代わりに言語化しながら、問題解決に貢献できることを提案していかなければいけません。

 会社の中でどのような業務をカバーしているのかによって違うため、トリセツの内容はそれぞれ考えていく必要があります。ただ、社員がうまく言葉にできない悩みや「ヘルプ」を洗い出すヒントはあります。これをご紹介しましょう。

■ライフステージと「不」の棚卸しで、役員・社員のニーズを捉える

 まずは、社員の一般的な会社生活のステージを整理してみましょう。23歳で入社して新入社員教育を受けて配属され、3-4年で初めて別の部署に異動をする。30歳を前にして結婚し、30歳を過ぎたあたりで子どもが産まれる。この頃にはOJTリーダーになって新人教育を初めて行う立場にもなる。30代半ばで係長職になり......。こうした作業は、社員を「画一的」に見るためのものではなく、プライベートも含めてどういうライフステージのときに、どんな事実に直面しやすいのか、そのときに、どのようなポジティブ・ネガティブの感情が生まれやすいのかを棚卸しするためのものです。プロモーションやマーケティングで「カスタマー・ジャーニー」といわれるものを活用します。カスタマー・ジャーニーとは、コンタクトポイントや感情の変化を意図的・計画的に作り出し、製品・サービスの体験デザインやコミュニケーション・デザインをしていくものです。こうした技法を参考にしながら、社員のライフステージという長いスパンでの感情やニーズの変化を検討していきます。

 一通り、ライフステージの変遷を棚卸しできた後には、「不」がつく言葉を活用して、社員が言葉にできない悩み・ニーズを考えていきます。たとえば「不利益」「不便」「不合理」「不安定」「不正確」「不案内」「不潔」「不信」「不安」「不統一」「不自由」......などです。こうした「不」がつく言葉をみんなで出し合ったうえで、役員や社員の立場から、どのようなライフステージでどのような「不」があるのかを整理。それぞれの「不」について、総務業務を通じて解決できることがないかを考えていきます。

 ここまでできれば、あとはトリセツにまとめていくだけです。「不」を社員の"あるある"のようなコピーにして、上記で検討した総務業務を通じて解決できることを提示していきます。必要に応じて、イラストや図解などを活用して、理解を助けていくものとします。ある程度のヘルプマニュアルにまとめるのであれば、イントラに掲出したり、各部署のマネジャーに配布したりします。あるいは、イントラで1件ずつ、定期・不定期に載せていくことも、社内PRの打ち手としては有効です。

 社員のニーズを考える方法は、ほかにも各部署の事業方針・計画や、各部署のマネジャーの立場から「不」を洗い出していく方法などがありますが、まずは上記の方法でイメージを掴んでみてください。

 こうしたトリセツを作成できると、自分たちも、役員や社員、ひいては総務だからこそ経営に貢献できることの輪郭が際立っていきます。役員や社員の側も、総務部門のことを「問題解決型総務」だと認識するようになります。

■社外広報を活用する

 社内PRのためには、社外広報も積極的に活用しましょう。総務部門の問題解決事例を積み上げていくことで、それこそ『月刊総務』に情報提供すれば取り上げてもらうことができるかもしれません。社員からすると、専門紙誌で取り上げられることで、その活動の価値・意義を実感しやすくなります。「ブーメラン効果」といわれるものです。社外広報の効果は、社外の認知度向上だけでなく、社員に対する活動の価値訴求にもなるのです。

 事例によっては、ホームページやソーシャルメディアで発信できるコンテンツにもなるでしょう。

 次回はいよいよStep5。最終段階です。いよいよ戦略総務として問題そのものを創り出すフェーズに移ります。

秋山 和久
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