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総務の知的財産戦略 第14回

2017年11月16日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。

 今回から外国特許出願戦略に話を進めますが、具体的な戦略の話の前に、その前提となる外国で特許権を取得する方法について解説いたします。

 日本企業が外国で特許権を取得する場合には、日本の特許出願に基づいて、外国で特許出願をすることがほとんどです。
 その際の出願ルートとしては、「(1)パリ条約出願ルート」と「(2)PCT出願ルート」の2つがあります。以下に、各ルートについて説明します。

(1)パリ条約出願ルート
 パリ条約出願ルートとは、世界中のほとんどの国が加盟しているパリ条約に基づく外国特許出願ルートです。現時点(2017年11月)では、175か国・地域がパリ条約に加盟しています。具体的には、下図に示すように、日本特許出願を基にして、各国に直接出願して、最終的に特許権を取得するというルートです。

パリ条約ルートの概要
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 パリ条約出願ルートの主なメリットとしては、次のような事項が挙げられます。
・権利化したい国が少数の場合は、PCT出願ルートよりも費用面で有利になります。
・各国の特許制度に応じて、出願内容を変更することができます。

 一方、主なデメリットとしては、次のような事項が挙げられます。
・出願前(日本特許出願から1年以内)に、出願を希望する各国ごとの公用語による翻訳文を作成しておく必要があります。
・各国の特許制度に合わせて出願する必要があるため、手続が煩雑になります。

(2)PCT出願ルート
 PCT出願ルートは、PCT条約(Patent Cooperation Treaty)に基づく外国特許出願ルートです。現時点(2017年11月)では、152か国がPCT条約に加盟しており、パリ条約加盟国の多くがPCT条約加盟国になっています。具体的には、下図に示すように、日本特許出願に基づき国際出願を行い、国際調査等を経た後、各国に出願(国内移行)して、最終的に特許権を取得するというルートです。


PCT出願ルートの概要

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 PCT出願ルートの主なメリットとしては、次のような事項が挙げられます。
・日本語で出願することができ、手続が簡便です。
・十分な翻訳文の作成期間(日本特許出願から30か月以内)を確保することができます。
・出願国の決定時期を30か月まで遅らせることができるので、その間の市場や技術の動向、会社の方針等の変化に応じて柔軟な対応ができます。
・国際調査報告(産業上の利用可能性、新規性および進歩性に関する審査官の見解)を活用することができます。

 一方、主なデメリットとしては、次のような事項が挙げられます。
・権利化したい国が少数の場合は、パリ条約出願ルートよりも費用面で不利になります。

 このように、各ルートにはメリット・デメリットがありますので、状況に応じて、パリ条約出願ルートかPCT出願ルートかを適宜選択することになります。

 次回は、具体的な外国特許出願戦略について解説いたします。

高松 孝行
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