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毎年のことですが、9月になると年末調整が気になり始めることでしょう。「令和6年分 年末調整のしかた」は9月下旬には国税庁から公表される予定ですが、今年は定額減税の年調減税事務が大きな変更点となるため例年以上に間違いのないよう気を付けたいものです。今回は、2024(令和6)年分の年末調整を解説していきます。
年末調整の手続き
(1)年末調整とは
毎月支払われる給料や賞与から源泉徴収された所得税および復興特別所得税(以下、所得税等)は、年間を通して毎月の給与の額に変動がないことを前提にして計算されています。しかし、実際は年の中途で給与額が変わることは珍しくありません。また、生命保険料や地震保険料に加入している場合、支払った保険料は所得税等の控除対象になりますが、毎月源泉徴収される所得税等の計算では考慮されていません。子供が生まれて年の中途で控除対象となる扶養親族の数が増えた場合でも、その後に支払う給与から源泉徴収する所得税等を変更するだけで、年初にさかのぼってすでに源泉徴収した税額を修正することはしないのです。
上記のような理由により、毎月源泉徴収されて納税した所得税等の年間合計額は、正しい額とはなりません。そこで、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき正しい所得税等を計算し、これまでその年に徴収してきた所得税等との過不足額を求め、その差額を徴収または還付し精算する必要があります。この税額精算の手続きが「年末調整」です。
(2)年末調整のスケジュール
会社により年末調整のスケジュールは異なりますが、おおむね以下のような流れです。
11月の初め頃
会社から年末調整に必要な各種書類(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2024年分の給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書など)が従業員へ配布されます。
11月中旬頃
従業員は、自分に必要となる書類へ記入を済ませ、添付が必要となる証明書類(生命保険料の控除証明書など)と一緒に会社へ提出します。
12月の初め頃
会社では、従業員から提出された各種書類を基に年末調整を行い、所得税等の税額の超過額(還付)、不足額(徴収)の計算を進めます。これらが、給与、賞与の支給額に反映されるタイミングは、通常12月か翌年1月となります。特に1月が多いと思われます。
図表:年末調整の進め方(スケジュール)
10月 | 年末調整スケジュールの作成 社員向け説明資料の作成 |
11月 | 必要書類の配布と社内説明会の実施 配布書類と必要書類の回収 未提出者(記載不備含む)への連絡・確認 |
12月 | 年末調整の計算 |
年末調整で行う定額減税(年調減税)とは
2024年度の税制改正により、2024年度分の所得税の特別控除「定額減税」が実施されています。定額減税には「月次減税」と「年調減税」の2つがあり、「月次減税」はご存じの通り、すでに6月以降に支払われる給与から減税が行われています。
「年調減税」とは年末調整時の定額減税のことで、年末調整の対象者が受けられる減税制度となり、その概要は次の通りです。
(1)年調減税の対象者
原則として年末調整の対象となる人です。年末調整の対象とならない従業員(給与収入2000万円以上など)は、年調減税の対象外となります。
(2)年調減税の一般的な流れ
年調減税の流れは次の通りです。
Step1.年調減税額の計算
年調減税の対象者となる従業員について、年調減税額の計算に必要な「同一生計配偶者」と「扶養親族」の人数を確認し、1人当たり3万円として年調減税額を計算します。
(年調減税の計算例)
従業員に妻(同一生計配偶者)と15歳の子供(16歳未満の扶養親族)がいる場合 年調減税9万円=3万円(本人分)+3万円(妻)+3万円(子)=9万円
Step2.年調所得税額の計算
従業員の年調所得税額(年末調整で計算された年間の所得税額)を計算します。計算するときには通常の所得税のみを対象とし、復興特別所得税は除外します。また、住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合は、本控除額を差し引いたあとの税額となります。
Step3.年調減税額の控除
年調減税額を年調所得税額から控除します。
年末調整に関する主な書類と変更内容
国税庁から公表された、変更を予定している年末調整関係書類および主な変更内容は次の通りです。
令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書
次の記載欄が削除されます。
- 「生命保険料控除」欄の「保険金等の受取人」欄のうちの「あなたとの続柄」欄
- 「地震保険料控除」欄のうちの「保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名」に係る「あなたとの続柄」欄
- 「社会保険料控除」欄の「保険料を負担することになっている人」欄のうちの「あなたとの続柄」欄
令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書
「給与所得者の基礎控除申告書」および「給与所得者の配偶者控除等申告書」に定額減税に係る記載欄が追加されます。
令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
簡易な給与所得者の扶養控除等申告書としても利用できるように、レイアウト修正がされました。
令和7年分 給与所得者の源泉徴収簿
裏面について、2024年分の年末調整に使用できる計算欄(※)を追加し、レイアウト修正がされました。
※定額減税の計算に対応するためのものであり、2025年分の年末調整の計算には使用できない
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