コロナ禍の適応支援(1) 五月病とその本質とは
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新入社員など大きな環境の変化を迎えた人が、ゴールデンウイーク明けくらいにメンタルダウンしてしまう、いわゆる「五月病」をはじめ、メンタルヘルス対策に悩んでいる総務・人事担当者の方も多いかと思います。さらに、コロナ禍でテレワークの機会が増えたことにより、労働者の状態が見えない中での対策が必要になってきています。ここでは、五月病についての基本的な知識とその背景を、典型的な事例とともに解説します。
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五月病の基本的な理解
みなさんもおおまかにはご存じかと思いますが、五月病とは、ゴールデンウイーク明けの時季に気分の落ち込みや意欲の低下などにより、新入生や新入社員などの大きな環境の変化を迎えた人の学業や仕事に影響が出るような状態をいいます。
ほかにも症状として、よく眠れない、食欲が落ちる(増える)、疲れやすくなる、感情が不安定になる、悲観的に考え過ぎるなどがあります。
五月病は正式な医学用語ではなく、いわば社会現象につけられたラベルのようなものです。程度もさまざまで、積極的に仕事に取り組めないものの指示されたことはなんとかこなせるような状態から、起床後どうしても体が動かず勤怠に影響するような状態まで見られます。
こういった、仕事に影響が出るような状態で精神科・心療内科などの医療機関を受診した場合、「適応障害」「軽度のうつ」「(抑)うつ状態」といった診断がされ、服薬治療、環境調整(仕事のペースを落とすなど)、自宅療養、カウンセリングなどによって回復をはかることになります。
誰にも気付かれずに放置されたり、気の持ちようだとして本人を追い込むようなことをすると、症状が重くなったり、うつ病などのより深刻な精神疾患を発症することもあります。
典型的な五月病の事例
ここで、イメージしやすいように、五月病の事例をまず1つ、示しましょう。本稿で紹介する事例は、筆者が精神科クリニックや支援している企業内でカウンセリングを担当したさまざまな事例を組み合わせた架空事例ですが、典型的なパターンといえると思います。
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