コロナ禍の適応支援(2) 五月病の治療と回復
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新入社員など大きな環境の変化を迎えた人が、ゴールデンウイーク明けくらいにメンタルダウンしてしまう、いわゆる「五月病」をはじめ、メンタルヘルス対策に悩んでいる総務・人事担当者の方も多いかと思います。さらに、コロナ禍でテレワークの機会が増えたことにより、労働者の状態が見えない中での対策が必要になってきています。ここでは、医療機関において五月病がどのように扱われるのか解説します。
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五月病は医療機関でどのように扱われるのか
五月病といわれる状態で仕事が手につかない。出勤できない。そのように、業務に支障が出るような状態になると医療機関で治療を受けることになります。
前回の最後にまとめた五月病の本質のように、適応困難な状況が明確にあり、それに反応する形で症状が出るような場合は適応障害と診断される場合があります。
もちろん、医師が診断をする際にはさまざまな観点から慎重に検討するため、たとえ無理がたたって連休でガクンと落ち込んで症状が出たからといって適応障害と診断されるとは限りません。
その背景にベースとなる別の疾患があったり、それをきっかけにほかの疾患が発症したりしていることも十分考えられます。ここでは、一つの典型的なパターンとして、適応障害を取り上げます。
最近、ニュースなどでも適応障害という診断名をよく耳にするようになりましたが、あらためてこの疾患についておさらいしましょう。
適応障害を診断、治療する診療科は精神科・心療内科です。主に精神科医が主治医となります。精神科・心療内科の診断には、アメリカ精神医学会によるDSM-5(Diagnosticand Statistical Manual of Mental Disorders [精神疾患の診断・統計マニュアル]第5版)、もしくはWHOよるICD-10(International Statistical Classification of Diseasesand Related Health Problems[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]第10版)を基準として用いることが一般的です。その記載をかみ砕いてまとめると、次の4つを満たすものが適応障害と診断されます。
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