改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務
○○ハラ調査、その前に 企業側が絶対に気を付けなければいけないポイントとは?
杜若経営法律事務所・第一東京弁護士会所属 弁護士 友永 隆太
最終更新日:
2023年03月27日
使用者側(企業側)の労働問題について実績が豊富な友永弁護士に、企業側が不利にならないためのポイントを解説していただく連載「改正パワハラ防止法 問題発生時、不利にならないための企業側の義務」(隔月第4週月曜日更新)、第5回はハラスメントの「問題発生時の情報共有で事態が悪化したケース」についてです。
企業は、被害者の訴えに基づいてハラスメントかどうかを調べるときにも注意が必要になってきます。今回は、事実を確認しようとしたばかりに、やってはいけないことをしてしまい、企業側が不利になってしまったケースをご紹介します。ハラスメントの事実認定以外で不利になってしまうのは、どんなケースでしょう?
ハラスメント調査資料の用い方を間違えると?
使用者は、パワハラの申し出を受けた際には、「事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること」が必要です(厚労省「パワハラ防止指針」より)。そして、被害を申告した者や加害者とされる者、目撃者からのヒアリング、証拠資料の確認などを経て事実認定を行うことは、ハラスメント調査の中心をなす重要なプロセスです。しかし、このプロセスにおいて、収拾した情報や証拠資料を不用意に加害者とされる者に共有すると、場合によっては被害申し出者のプライバシー侵害として問題化するケースがあります。
今回は、実際にパワハラ調査時の資料の共有の仕方に問題があったとして、使用者が損害賠償責任を負うとされた裁判例から、調査時の資料をどのように収集・利用すればよいかを検討します。
パワハラ調査方法が違法とされた例(京丹後市事件・京都地裁 令和3年5月27日判決)
事案の概要
本件は、被告である京丹後市に任用され、幼稚園の教諭として勤務していた原告が、
- 勤務していたA幼稚園のB園長からパワハラに当たる言動などを受けたこと
- パワハラの証拠として被告に提出した原告の日記のコピーを、原告の承諾なく、被告職員によって複製され、B園長に渡されるなどしたこと
などによりうつ病を発症し、またはうつ病が悪化したなどと主張して、被告に対し損害賠償請求等を求めた事案です。
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