「良かれと思って」があだとなる! 悪意なきマタハラ・ケアハラ等のリスクと企業が取るべき対応
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企業等における危機管理を専門とする株式会社エス・ピー・ネットワークの研究員が、「HR(ヒューマンリソース)リスクマネジメント」の観点から職場のハラスメントについて解説していく本連載。今回は、妊娠・育児、介護を理由とする不利益取り扱いとハラスメントについて、取り上げます。
近年の妊娠・出産・育児休業、介護休業を巡る法改正の背景
近年、妊娠・出産・育児休業・介護休業を巡る法制度は、連続的かつ実務に直結する改正が続いています。とりわけ育児・介護休業法は2022年から2025年にかけて段階的な改正が行われ、出生時育児休業(いわゆる産後パパ育休)の創設、育児休業の分割取得、個別周知・取得意向確認の義務化、一定規模企業における取得状況の公表など、企業に求められる対応は質、量ともに拡大しました。
これらの改正の背景には、共働き世帯の一般化、男性の育児参画促進、介護離職の防止といった社会構造の変化があります。しかし、制度が整備されたとしても、実際に利用できるかどうかは別問題であり、その差を生む一つの要因が、妊娠・出産・育児休業、介護休業に関するハラスメントの存在です。
妊娠・出産・育児休業、介護休業に関するハラスメント(通称「マタハラ、パタハラ、ケアハラ」)は、パワハラやセクハラと違って、「良かれ」と思った発言が相手にとってはハラスメントと受け取られることがあるため、従業員教育や意識の擦り合わせなどが肝要です。
また、妊娠・出産・育児休業、介護休業に関しては、「不利益取り扱い」と「ハラスメント」が法的に区別されています。いずれも男女雇用機会均等法および育児・介護休業法が根拠法ですが、条文構造や判断枠組みが異なります。実務対応の前提として、まずはこの整理が重要です。
妊娠・出産・育児休業、介護休業等を理由とする不利益取り扱い
女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令の定めを理由とする解雇その他不利益取り扱いの禁止は男女雇用機会均等法第9条第3項に、そして、育児・介護休業等の申し出・取得等を理由とする解雇その他不利益な取り扱いの禁止は育児・介護休業法第10条に定められており、解雇、雇い止め、降格、減給、不利益な配置転換などは明確に禁止されています。
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