コラム

法務関連 / 知的財産権・著作権・特許 / 総務の知的財産戦略

総務の知的財産戦略 第15回

2017年12月14日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。

 前回は外国で特許権を取得する方法について解説しましたので、今回はそれを踏まえた外国特許出願戦略について解説いたします。

■外国特許権の重要性

 経済のグローバル化が進み、現在は国内市場だけではなく海外市場でも競争が激化しています。そのため、国内特許権だけでなく、現在は外国特許権の重要性も高まってきています。実際、PCT出願数は、リーマンショック後も年々増えています。

 しかし、外国で特許権を取得するには、翻訳や現地代理人の雇用等の高額の費用が必要となる上に、言語の問題もあり、特許権取得にかかる業務量も大幅に増加することになります。したがって、やみくもに外国に特許出願するのではなく、外国での事業戦略に沿って適切に外国特許出願を行うことが求められます。

 そこで、外国特許出願の判断基準を作成することをお勧めします。

■外国特許出願の判断基準

 外国特許出願の判断基準を作成するには、「特許性」「出願国」「発明の種類」の3項目に留意する必要があります。

(1)特許性
 一般的に、特許になる確率が「高い」と判断されたものが外国特許出願の対象になります。「低い」と判断されたものは、特許になれば圧倒的に優位に立てる等の特別な理由がなければ外国特許出願しないことになります。
 なお、「不明(判断できない)」という場合には、まずはPCT出願をし、国際調査報告を待って、どの国に国内移行をするか(または国内移行を一切行わない)判断するということになります。

(2)出願国
 たとえば市場国(主に市場として考えられる国)、製造国(主に製品の生産国として考えられる国)および模倣品製造国(主に模造品の生産国)に分類できます。

(3)発明の種類
 たとえば「物の発明(液晶材料の発明や機構の発明等)」「物を生産する方法の発明(バッテリー材料の製造方法の発明等)」および「方法の発明(果実の糖度の測定方法等)」に分類できます。

 これらの項目を考慮して作成した判断基準が以下の表です。

handankijun.jpg

 この表では、発明の種類と出願国との組み合わせによって、「S」「A」「B」「C」「×」の5段階のランクで外国特許出願すべきか否か評価しています。
 たとえば、「S」または「A」にランク付けられたものについては原則として外国特許出願を行い、「B」にランク付けられたものについては検討し、審査請求を行うか再度判断する。「C」および「×」にランク付けられたものは原則として外国特許出願を行わないという判断をすることができます。

 そして、外国特許出願を行うことが決まった際に、出願国数等に応じて、パリ条約ルートかPCT出願ルートのどちらを使うか選択すればよいことになります。

 このようにして、事業戦略に沿った外国特許出願戦略を構築することができるのです。このような外国特許出願の判断基準を、総務部自らが作成し、貴社の知財戦略に貢献してみてはいかがでしょうか?

 次回は、特許の年金管理について解説したいと思います。

高松 孝行
​​MENU