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コラム

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においマネジメント【その7】その疲労、普段吸っている空気が原因かも〜会社の空気は驚くほど汚れています〜

2019年11月01日

■有害化学物質は空気から

 普段私たちが何気なく吸っている空気。1日どのくらい吸っているかご存じですか?ちなみに人が1日に口にする食べ物は1?2?、水は2?3Lです。そして、1日に吸う空気量は1万5,000?2万Lです。これは重さに換算すると12?30?にもなります。人が生涯で摂取するものでは、飲料、食品をはるかに上回り83%もある空気ですが、同時に有害化学物質をもっとも摂取する経路でもあります。

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■シックビルディング症候群の検証

 換気の悪いビルの中にいると、さまざまな病気・症状が現れることがあります。これらはシックビルディング症候群と呼ばれ、次のように定義されています。

・目、特に眼球結膜、鼻粘膜、および、喉の粘膜への刺激
・唇などの粘膜が乾燥する
・皮膚の紅斑、じんましん、湿疹が出る
・疲労を感じやすい
・頭痛、気道の病気に感染しやすい
・息が詰まる感じや気道がぜいぜい音を出す
・非特異的な過敏症になる
・めまい、吐き気、嘔吐(おうと)を繰り返す

 2012年、日本において、冬期に315のオフィスビルと3,335人の従業員、夏期に307のオフィスビルと3,024人の従業員に対してシックビルディング症候群に関連する症状とそのリスク要因に関する調査が実施されました。その結果、職場環境に強い疑いのあるシックビルディング症候群に関連する主症状の有症率は、下記の通りになりました。

【冬期】
非特異症状:14.4%、目の刺激:12.1%、上気道症状:8.9%、下気道症状:0.8%、皮膚症状:4.5%

【夏期】
非特異症状:18.3%、目の刺激:14.1%、上気道症状:6.7%、下気道症状:0.9%、皮膚症状:2.2%

※上気道症状:のどの渇きや痛み、鼻水・鼻詰まり、せき、くしゃみ
 下気道症状:呼吸時にヒューヒュー・ゼーゼーする、胸部の圧迫感

 これらの症状の関連するリスク要因については、冬期・夏期ともに、温湿度環境、薬品・不快臭、ほこりや汚れ、騒音などが挙げられます。具体的な化学物質として取り上げられるのがホルムアルデヒド、VOC、SVOC、MVOC、真菌(かび)、細菌、ダニアレルゲンなどです。

 さらに、パソコンの画面を見る時間が長いほど 交感神経が過多になり、結果免疫力が落ちるため、皮膚、粘膜、一般症状のリスクが増加することも報告されています。

 シックビルディング症候群の症状は、特定の建築物や居室内で就業中に増悪し、これらの場所から離れると改善または消失するのが特徴とされています。

■有害化学物質を取り除くための対策

 有害化学物質を取り除く方法としては。次のものが考えられます。

(1)換気をする
 2003年以降の建築物は24時間換気システムの導入が義務付けられましたが、それ以前の建築物に関しては、窓を開け、小まめに換気を促すことが大切です。

(2)吸着させる
 マムやスパティフィラム、ボストンタマシダなど、エコプラントと呼ばれる植物は、NASAによってホルムアルデヒドを吸着すると報告されています。こういった植物をオフィスの中に置いてみるのもいいでしょう。レンタルなら水やりも不要なので、総務の方の手間も掛かりません。(参考:グリーンポケット

(3)取り除く
 空気清浄機の活用も検討してみましょう。PM2.5などの微細な粒子や花粉、ハウスダストなどさまざまなアレルゲンや有害物質を除去できるタイプが多く販売されています。

(4)除菌・殺菌する
a.次亜塩素酸水
 殺菌剤として食品添加物にも使われています。室内に散布することにより、殺菌を促し、消臭します。
b.除菌装置
 室内の空気を取り入れて紫外線ランプで菌を抑制し、清潔な空気を送り出す除菌装置も開発されています。紫外線ランプは装置内部に組込まれているため安全です。また床置き仕様のため簡単に設置や移動が行えます。(参考:岩崎電気
c.アロマディフューザー
 アロマ、つまり精油の中には、ティーツリーをはじめ、殺菌・抗菌・抗ウイルス作用を持つものがあります。ただし、合成香料にはそのような効果がないため、殺菌目的で使用する場合は天然植物香料を選ぶことが重要です。

■良い空気のパフォーマンスへの影響

 また、良い空気は健康面だけでなく、パフォーマンス向上にも効果があることがわかっています。

 ハーバード大学とシラキュース大学、ニューヨーク州立大学(SUNY)アップステート医科大学の共同研究において、24の知識労働者(マネジャー・建築士・デザイナーなど)を対象に、認知機能の標準テストを行い、研究参加者たちの意思決定パフォーマンスを検証したところ、より良い空気を吸うことで研究対象者のパフォーマンスが改善することが明らかになりました。

 加えて、上記のテスト結果を労働統計局から入手した別のデータと比較したところ、換気率を2倍に高めることで一人当たり年間6,500USD(約70万円)の生産性効果があることも推定されています。

 今、注目を集めているWELL Building StandardでもAir(空気)は、特に評価へ影響があるとされる重要カテゴリーの1つに位置付けされており、良質な空気の維持と大気汚染物質の抑制に努めることを定めています。これからの時代は、人間の持つ意識や本能に働き掛け、効率の良いウエルビーイングな働き方を促し、生産性を高めることが必要とされています。有害物質を取り除くだけではなく、観葉植物や香りを組み合わせて五感を刺激するのもお勧めです。

青木 恵
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