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コラム

人事 / 労務管理 / 中小企業の人事制度

本に載らない現場のノウハウ 〜中小企業の人事制度〜
【第31回(最終回)】人事制度作りに取り組む上で(まとめ2)

2014年09月30日


■個と組織のバランス

 これも今までお伝えしてきていることですが、"企業人事"という機能の中で、どこまで仕組みで決めて、どこから運用の中で調整していくのかということです。サッカーなどの団体競技では「個(個人技)と組織(組織戦術)のバランス」ということを言われますが、これと同じようなことです。

 例えば、できるだけ細かい仕組みを決めた方が、経験不足を補う事ができ、組織人事としての質は担保しやすくなります。経験が少ない組織や未熟な人たちの集団ではメリットになるでしょう。
一方、自分で判断することは必要なくなるので、組織に属する人たちのスキルアップや、経験値を上げることにはつながりにくくなります。大きな組織で仕組みが整ってくるほど、自分で判断をしなくても済んでしまう傾向があるので、いざスピード感を持った判断が必要という時の対応は遅れがちになります。

 逆に、最低限の仕組みしか決められていなかったとすると、その場その場の状況に応じた、臨機応変な対応が可能になります。個々の能力は発揮しやすいので、有能なリーダーがいれば、その人が力を発揮しやすい環境と言えます。
一方で、何事にも個人差がつきやすく、一貫性のある対応は行いにくくなります。この傾向は組織の人数が増えていくにつれて、徐々に増していきます。まちまちな対応は、社内的なことや対外的なことを問わず、相手からの信頼感を失います。

 何でも規則で決められているのは、一貫性や質を担保しやすいが、画一的で硬直化した対応になりがち、かといって逆に規則がないのは、臨機応変で柔軟な対応ができるが、一貫性のなさや不公平さにつながります。
 何でも仕組みで決められていることが良い訳ではなく、かといって何でもその都度対応を決めていることにも問題があります。

 これは、それぞれの企業のステージに応じた、望ましい「個と組織のバランス」があるはずです。
 このバランスを常に意識し、現状をウォッチし続ける必要があると思います


■業績と育成につなげてこその人事制度

 人事制度というのは、以前にも述べた通り「重要な経営資源である"人材"を活性化する」ということが目的です。"人材を活性化する"ということには、合わせて"人材育成"の取り組みが不可欠であり、これらは最終的な"企業業績"につなげてこそ意味があるものです。
 
 人事制度は社内向けの仕組みであり、それが直接業績につながるものではないため、ともすれば社内的な手続き論や、内向きな仕組みの議論ばかりに陥りがちです。
 もちろん制度として理屈が通っていることも、運用プロセスを守らせることも大切ですが、人事制度の目的は「公正な処遇」でも「手続きの標準化」でも「人材育成」でもありません。それらはあくまで、「人的資源を活性化するための手段」であり、その取り組みが最終的な"業績向上"につながらなければ意味がありません。

「人事制度は、人材の活性化を通じて "業績向上"を図るためにあるもの」ということを、見失わずにいることが必要だと思います。


本コラムは今回で最終回となります。雑駁な点や重複する内容があったかと思いますが、皆様の会社で人事制度を考える機会があれば、何らかの参考にして頂ければ幸いです。
これまで長らくお付き合い頂き、有難うございました。

小笠原 隆夫
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