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BTM徒然草 第4話:トラベル業務外部委託は企業秘密を扱う"仲間"

2017年04月27日

■ ビジネストラベルは機密情報

 私がビジネストラベル業務外部委託を獲得するために、世界的に有名な旅行会社の合弁事業に従事していた頃の話だ。

 バブル崩壊後低迷し、業界2位の座から落ちる寸前だった某大手メーカーは、外部から経営の専門家チームを招いて"V字回復"をはかっているところだった。販売市場は海外が7割、国内市場が3割という状況下、積極的な海外展開を目指していた。

 冷戦構造に終止符、1989年11月のベルリンの壁崩壊、1991年12月のソビエトの崩壊と続き、そのメーカーの製品市場は旧共産圏に及んでいた。いち早くその市場でのプレゼンスを示し、先駆者利益を取るために積極的に展開しようと、まずはある国に、主要パーツのリサーチセンターを3年で作る計画を立てていた。

 すると当然人の行き来が生じる。すなわち、その地へのビジネストラベルが開始され、その人数、頻度が目に見えて増え、利用する航空会社もそれまでとは異なってくる。

 こうしたことは"企業秘密"として行われなければならない。競争企業がビジネストラベル先を知ったなら、その企業の投資戦略、市場開発が明らかになり、企業活動に危険が付きまとう。そうした情報を日々取り扱っていながら、その重要性が見落とされがちなのが旅行会社である。

 2005年4月に個人情報保護法が施行されてから、ビジネストラベルを扱う外部委託企業の重要性が認識されるようになった。"機密情報"に個人も企業も今まで以上にその必要性を意識し始めたといえるかもしれない。

 その一見何でもないビジネストラベルの情報が非常に重要で、ビジネストラベルを業務委託している旅行会社は自社の企業グループの一員であれ、非グループ企業であれ、自分たちの"仲間"として意識し、情報共有とそれを管理することが重要である。

 ビジネストラベル(業務出張)の業務外部委託に際し、企業は旅行会社5-6社にその競争入札をメール、電話等で告知し、入札希望旅行会社を募る。その際、いの一番にやることは「企業秘密保護」文書を取り交わすことである。

■ 3つのプラットフォームの中から委託先を選ぶ

 次に応募旅行会社に対し、自社の業務出張に関するデータと業務委託仕様を開示し、各社の提案内容を人事・総務、購買、経理、IT部門のRFP評価チームがスコアカードなどを使用して公平性を保ちながら委託旅行会社を選定する。

 選考に残った2-3社の旅行会社の予約手配の状況、機密情報入管理観点からの書面管理、をチェックするために現場訪問をお勧めする。

 ビジネストラベルを委託して対応してもらうプラットフォームはいくつかある。
(1)自社のある場所を提供して人と機材を派遣、持ち込んで作業をする
(2)旅行会社内で予約手配センター内に専従チームを作り、そこで作業をする
(3)ほかの企業のビジネストラベルの手配と同じように予約手配センターで扱う

 コスト面からは(1)(2)(3)の順で安くなる。機密情報保護面からは(1)(2)(3)の順で漏れる危険度が増す。トラベラーの利用利便性からは(1)(2)(3)の順になる。

 出張件数が多く、スピード感があり、航空便、ホテル宿泊、リムジン、ハイヤーなど多岐にわたるサービスを求める外資系金融企業は、(1)を望んだ。出張件数は並外れて多いわけではないが、スピード感あるサービス、機密情報保護を優先する企業は(2)を望んだ。出張件数は多くなく、その他大勢の扱いで済ませる企業は、(3)を選択した。(3)の1件当たりの取り扱い手数料は、(1)の3分の1ほどであったと記憶している。

 一見どの旅行会社も差別化できていないと思えるビジネストラベル業界。業務委託する企業の品質管理とトラベルカウンセラー、あるいはトラベルコンサルタントと呼ばれる予約手配担当者のカウンセリング、コンサルティング力でビジネストラベルの成果に直結するのだ。

 たとえば冬場の米国出張、シカゴオヘア空港、ニューヨークJFK空港などは悪天候によるフライトキャンセルが当然のことと考えられるとき、目的地にほかの空港迂回便を使った旅程を提案したり、出張先が郊外の工場であるときのホテル選択を提案したりすることで、そのトラベルカウンセラーのでき次第でビジネストラベルの成果、ROIまで違ってくる。

 それほどビジネストラベル業務委託する旅行会社の競争入札、先行、契約、その後の管理監督は重要なのだ。それゆえに実戦経験豊富なプロフェショナルであるBTMコンサルタントの活用が必要となる。

森 栄蔵
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